【韓国紙】野党候補一本化なら明確なビジョンを示せ
「国民の党」の安哲秀大統領候補が13日、「国民の力」の尹錫悦候補に野党側の候補一本化を公式に提案した。政治的勝負の賭けに出たのだ。安候補はユーチューブでの特別記者会見で「政権交代による旧体制の終息と国民統合を通じて未来に進もうという目標を同時に成し遂げるのは、どちらか1人だけの力では難しい」とし、「圧倒的勝利のためには一本化方式が2人の当事者と支持者はもちろん、支持候補を決められない国民も同意する合理的方式であるべきだ」と語った。それと共に昨年4月7日のソウル市長補欠選挙当時の「世論調査による国民予備選挙」方式を持ち出した。
これに尹候補も「考えてみるが、残念な点が多い」と述べ、政権交代に重点を置く安候補の一本化方式に“否定的なシグナル”を送りながらも、連帯の可能性は残した。両候補間の一本化をめぐり神経戦に入った格好だ。
第20代大統領選挙までわずか20日余りを残した時点で、相変わらず“政権交代”世論が“政権維持”より優勢だが、尹候補の支持率は「共に民主党」の李在明候補と薄氷の差であることが明らかになっている。安候補支持率は10%内外だ。しかし、尹・安候補のどちらで一本化すれば得票率が高いかは世論調査機関によって差があり、誰が有利だとは言い難い。明日(15日)が候補登録の締め切りで、16日から3月9日の投票に向けて選挙戦が本格的に始まる。従って野党側が一本化するなら、これ以上遅らせることができない状況に達したと言える。
一本化は野党の立場では絶体的な課題だが、それでも名分のない一本化はできない。政権交代のためだけの一本化は、現在としては一難去ってまた一難だ。両候補の立場の差があまりにも大きいためだ。尹候補は既に「安候補と私の間で決める懸案」、すなわち談判方式でやろうと提案している。“責任総理”や“共同政府”などを媒介に安候補の譲歩を勝ち取る算段だが、安候補の昨日の“提案”とは程遠い。大統領選挙の終盤まで両候補の間で拮抗(きっこう)した綱引きが予想される。
「勝たなければならない」という単純な算術的選挙工学だけでは国民に感動を与えることは難しい。両候補が少しでも一本化の真正性を国民に見せようとするなら、お互いの価値と政策を共有し、政権に就いた後、どんな政府を構成して政治改革を推進するのかなどに対するビジョンを示さなければならない。こうした土台なしでは選挙の間中、両陣営間で退屈な攻防が続くだけであり、たとえ一本化を実現しても、効果は期待し難いだろう。
(2月14日付)