【韓国紙】北朝鮮のミサイル挑発受けても観光推進とは


韓国紙セゲイルボ「社説」

韓国東海岸最北端の江原高城郡統一展望台から北朝鮮を眺める李在明共に民主党大統領候補(ニュース1、セゲイルボより)

韓国東海岸最北端の江原高城郡統一展望台から北朝鮮を眺める李在明共に民主党大統領候補(ニュース1、セゲイルボより)

 北朝鮮が新年に入り半月の間にミサイルで4回も挑発した。5日と11日に極超音速ミサイルを発射したのに続き、14日と17日には列車から短距離弾道ミサイルを撃った。ミサイルの挑発に国際社会が糾弾声明を出し、米国が独自制裁と安保理次元の追加制裁を要求しているが、圧迫に屈しないというメッセージのようだ。

 全てが韓米の対空防御網の無力化を狙っているという点で、安保に深刻な脅威である。にもかかわらず、北ミサイル脅威が自分のことでないかのように対応する韓国政府の態度は安易なことこの上ない。文在寅政権がスタートした2017年が想起される。北朝鮮は同年5月から9月まで13日に1回の割合で、挑発を強行した。核保有国の地位を認められる一方で、核弾頭を米本土まで運ぶことができる大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発にすべての焦点が合わされた。

 半面、韓半島平和体制構築に拘泥する韓国政府の基調は楽観的だった。ちょうど平昌冬季五輪で南北雪解けムードが盛り上がった。だが、2019年2月の朝米間“ハノイ・ノーディール”以後、北朝鮮の挑発は再開され、ICBMを保有する結果につながった。政府の中途半端な態度が北朝鮮の核兵器を屋根の上に載せて暮らす事態を招いたのだ。

 今もその時と違わない。国際社会の糾弾声明に努めて目を閉じるのはもちろん、国家安全保障会議(NSC)を開いても「挑発」や「威嚇」のような単語を使わない。大統領のNSC欠席はもう日常になった。NSC常任委レベルの遺憾表明が関の山だ。「意図を綿密に分析してみる」と言いながら、対話再開の主張だけを繰り返す。北朝鮮が2回撃った極超音速ミサイルが南北間ミサイル開発競争の“ゲームチェンジャー”になり得る点で国民の不安が大きいのに、われ関せずだ。

 この局面で李在明大統領候補は金剛山観光再開と非武装地帯(DMZ)観光推進、南北鉄道および道路連結の公約を打ち出した。いまこの話題だろうか。金剛山観光中断の原因をつくった北側が謝罪はもちろん再発防止の約束もしていないのに、こちらから観光再開を叫ぶのが穏当なことなのか。鉄道・道路連結も国連対北制裁委員会の事前承認が優先なのに、実現できるものだろうか。

 昨日も彼は国軍将兵の通信料を半額に下げるといった。これに対し財界人の“滅共”発言には強く反発した共に民主党からは一言もない。安保より票の計算が優先のように見えるという話は間違っていないようだ。政治がこんなありさまなので、北朝鮮が挑発をやめるだろうか。

(1月18日付)