ソフトパワーは一流、政治は三流の国


韓国紙セゲイルボ

国の品格下げる政争国会

防弾少年団(BTS)の公式グッズは日本でも人気を呼んでいる

 「文化も経済のように輸入よりは輸出が必要だ。私は韓国の文化を輸出するために世界を飛び回る文化商人だ」
 ビデオアートの創始者白南準(ペクナムジュン)は1984年、「なぜ韓国の舞台を差し置いて、外国だけで活動するのか」との質問にこう答えた。韓国文化に対する並々ならぬ愛が感じられる。

 いまや韓国文化は世界の人々が羨望(せんぼう)し、模倣する主流文化として位置付けられた。もはや世界の“辺境文化”ではない。防弾少年団(BTS)は米ビルボードチャートを席巻し、映画『パラサイト』と『ミナリ』はアカデミー賞を受賞し、『イカゲーム』に続き『地獄が呼んでいる』も世界中から最も愛されるドラマに躍り出た。拍手を送るほかない。世界文化市場の勢力図を塗り替えた“コリアンインベイション”(韓国の侵攻)は韓国民には自負心を、世界の人々には幸福感を贈った。最も韓国的なものが世界的なものになると予想した国民はどれだけいるだろうか。

 日本の文化コンテンツをコピーばかりし、日本大衆文化の開放に伴う文化蚕食を心配した20年前と比較すると隔世の感がする。

 ソフトパワーという用語を初めて使った米ハーバード大のジョセフ・ナイ特別功労教授は今年10月、「韓国は文化に対するソフトパワーがよく備わった、世界で最も模範的な事例の一つ」と評価した。だが、これで満足してはならない。それをさらに育て、足りない点を補完することが重要だ。

 韓国は正義の外交政策部門が足りていない。政府開発援助(ODA)と国連平和維持活動(PKO)派遣など、国際社会への貢献度が他の先進国に比べはるかに少ない。国際社会の援助で困窮した時期を持ち堪え、国連軍の助けで北朝鮮の南侵を防いだ国として恥ずかしいことだ。受けたものを返すためにも、ODAとPKOにより積極的に参加する必要がある。

 さらに大きな問題は3流政治がソフトパワーの足を引っ張っている点だ。韓国政治は国の品格下落の主犯だ。国会議員は“動物国会”“植物国会”“暴言国会”“ノルモク(遊んで食べてばかりの)国会”などと、あらゆる汚名を着せられても、反省どころか、民生をほったらかして政争だけに明け暮れている。陣営間の対立は国民を二分し、大統領候補までが政策とビジョンの対決よりネガティブキャンペーンに没頭する旧態を踏襲している、まことに情けない状況だ。政治以外の分野との“発達不一致”が韓国ぐらい激しい国があるだろうか。

 国民の政治不信は最悪であり、政治の革新が切実に求められる。韓国のソフトパワーがさらに跳躍しようとするなら、政治レベルのアップグレードは必須だ。政治の韓流が花開けるように、国会議員から覚醒して奮発することを望む。

(金煥基(キムファンギ)論説室長、11月30日付)

ポイント解説

三流政治に押される“文化国家”

 2003年、NHK衛星放送で放映開始された韓国ドラマ「冬のソナタ」を切っ掛けに日本で韓流ブームが巻き起こった。これで韓国に対するイメージは大きく変わった。正確に言えば、変わったというよりも、初めて韓国・韓国人を知ったといった方がいいだろう。それまで韓国を伝えるまともなコンテンツが少なかったのだ。

 以来、ドラマ、映画、音楽グループが奔流のように流れ込んで、日本人の心を捉えた。たとえ政治外交関係が最悪になろうとも、反日・嫌韓ブームが続こうとも、「ヨン様」(「冬のソナタ」の主役俳優)への“初心”を忘れない中高年女性、イ・ヨンエ(李英愛、ドラマ「チャングムの誓い」の主演女優)の“純真”を信じる中高年男性はその心を曲げていない。

 一方、日本大衆文化は金大中(キムデジュン)大統領の英断によって1998年に開放され、それまで海賊版に頼り、非合法下で見られていた日本のアニメやドラマが韓国社会で堂々と表通りに出た。ところが、その後の政府が反日に舵(かじ)を切ると、日本文化に親しむ人々は「土着倭寇」とか「親日派」の“汚名”を着せられて、再び地下にもぐることになる。文化が政治の力で左右されてしまう国と、政治と文化は別ものとして、外国芸能人の追っかけができる国と、どちらが「文化」的に成熟しているか、自ずと知れよう。

 韓流の盛隆は喜ばしいことだ。文化は人間の本性に訴え、重力の法則のように流れ広まる。それを政治的圧力、あるいはそれによって生じる同調圧力で抑制してしまうことを「統制」という。これは文化の基礎である自由とは正反対の行為だ。

 これまで一つだけ、ずっと門が閉ざされているものがある。それは日本語歌謡だ。歴史的経緯もあり、TVではもちろん聞かれず、コンサートでも事実上許可が必要だ。真の文化国家を誇るためには世界貢献も重要だが、文化の開放も忘れてはならない。

(岩崎 哲)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。