韓日関係は日本のトップが問題なのか


韓国紙セゲイルボ

より大きな山は対韓強硬世論

 今や韓国も日本も政治の季節だ。韓国が来年の大統領選挙で既に選挙局面に突入すれば、日本も間もなく自民党総裁選と衆議院選挙によって選挙局面に入る。議院内閣制の日本では多数党の総裁が首相になるが、安倍晋三首相の辞任で首相になった菅義偉氏の総裁任期は9月末までだ。最近の報道によると、自民党の総裁選挙は9月29日、衆議院選挙はその後になると展望される。

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「防災の日」の総合防災訓練で、記者会見する菅義偉首相1日午前、首相官邸

 もうすぐ行われる自民党総裁選には菅首相、岸田文雄前政調会長、高市早苗元総務相などが出馬の意向を明らかにした。その他にも次期首相を問う世論調査で1、2位を争う石破茂元幹事長、河野太郎行政改革相なども注目に値する。退任後活発な活動を見せている安倍前首相の再登場説も出ているが、直接出るよりもキングメーカーの役割を行う可能性が高い。

 ところで菅首相が変われば韓日関係が変わるだろうか。結論から言えば、違う。残念ながら、そのような可能性は非常に低く見える。

 まず、名前の挙がった候補の中で韓国との関係を重視する石破氏は党内支持基盤が弱く、当選する可能性は低い。高市氏はたゆまず靖国神社を参拝しており、村山談話(1995年)を批判した“極右政治家”に分類される。比較的穏健派として知られる岸田氏は「2015慰安婦合意」に署名した張本人だ。

 結局、この中の誰がなっても韓国に対する政策と立場が変わる可能性は低く見える。そして、菅首相が再任されれば現在の基調は維持されるだろう。

 だが、それよりもっと大きい山は日本の世論だ。韓国に強硬な主流政治家たちの後ろには彼らを支持する日本の世論がある。2020年に行われた読売新聞と韓国日報の韓日共同世論調査によれば、韓日両国の最大懸案である強制徴用問題に関して、「韓国大法院(最高裁)の判決は国際法違反であり、この問題は既に1965年の請求権協定によって解決された」という日本政府の立場に、韓国世論の81%が「納得できない」と答えたのに対して、日本の世論の79%が「納得できる」と答えた。

 換言すれば、日本の政権変化だけに頼るには、日本政府の対韓強硬スタンスへの国内の支持が高いということだ。このような状況でリーダーシップの変化だけで韓国に対する政策と態度の変化があると期待するには無理がある。

 韓国と同じように敏感な韓日関係は日本でも世論の影響を受けやすく、さらに世論の支持を受ける政府の政策を変えて、国民を説得することは、現在の日本のリーダーシップでは想像し難い。結局、誰が首相になるかより、もっと重要なのは日本社会全般の認識変化を引き出すことであろう。

(崔恩美(チェウンミ)峨山政策研究院研究委員、8月27日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

日本の対韓印象を変えるには

 日本の次期政権がどうなるかには韓国でも関心が寄せられる。だが、それはもっぱら日本専門家の間でであって、一般人でそれほど関心が高いわけではない。それより自国の大統領選の行方の方がよっぽど切実だ。
 とはいえ、これだけ悪化した日韓関係を考えれば、日韓双方で政権が代わらないことにはにっちもさっちもいかないと、誰でも思う。韓国では「積弊清算」を掲げて歴史の塗り替えを行っている左派政権が続く限り、韓日関係の改善は望めない。文大統領が対話を呼び掛けても、一顧だにしない日本政府の態度は頑なに映るものの、そもそも文政権がこじらせたという認識もある。

 日本政府のこの態度を分析したら、背後に日本国民の反韓感情があったことに韓国もようやく気付き始めた。普通に考えればこれは容易ならざる事態だ。韓国・朝鮮は歴史的に日本情勢の読みを誤ってきた。見くびるか過大評価するかで、ありのままの日本を見ようとしない。小中華思想と華夷秩序が目を曇らせたからだ。

 韓流ブームで日本には韓国ファンが溢(あふ)れていると勘違いしていたら、実際は根強い韓国嫌いもいて、それが単に「極右政治家とメディア」だけでなく、それまで韓国に対してニュートラルだった一般人が、最初に目にするのが韓国の反日政策だったら、印象はマイナスから始まるのも仕方ないことだ。

 「慰安婦」「徴用工」問題の蒸し返しで、さすがの知韓派知識人も“韓国疲れ”を呈してきたころから風向きが変わった。このままでは日本に反韓感情が高まるとの警告も聞かれなかった。まずはその辺から分析を始めて、どうしたら日本の対韓感情が好転するかを研究することをお勧めする。

(岩崎 哲)