国交正常化56周年も遠ざかる韓日、容易でない信頼関係の回復


韓国紙セゲイルボ

 最近主要7カ国(G7)首脳会議を契機とした韓日会談が不発に終わり、連日“相手のせい”にする攻防が続いている。事情がどうであれ、せっかく用意された機会をいかして、どんな形であれ自然に開かれると期待された首脳会談はついに開かれなかった。

1年3カ月ぶりに会談した韓国の文在寅大統領(左)と安倍晋三首相(当時)=2019年12月、中国四川省成都市(EPA時事)

1年3カ月ぶりに会談した韓国の文在寅大統領(左)と安倍晋三首相(当時)=2019年12月、中国四川省成都市(EPA時事)

 真実攻防の中で、両国間の冷めた雰囲気はさらに冷たくなり、再び韓日首脳がいつ顔を合わせるか分からない“予約のない”状況に置かれることになった。

 このような真実攻防は初めてではない。2018年12月レーダー照射・哨戒機低空飛行問題でも、19年7月日本の輸出規制問題で向き合うことになった実務協議でも、同年11月韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)終了猶予決定発表の過程でも、両国政府は互いに違うことを言って真実攻防を繰り広げた。

 繰り返される両国の言い争いの中で、ある瞬間からから問題の本質は消え、誰が嘘(うそ)をついているかにだけ焦点が合わされるようになる。

 韓日関係改善を語る時、最も多く出る言葉の一つが“信頼回復”だ。これは両国首脳間の信頼と同時に国家間の信頼をも意味する。韓国も日本もお互いを信じられない状況が続いているということだ。いったい何を信じることができないのか。

 まず韓国の立場で見れば、過去の問題に対する反省と謝罪を語る日本の真正性を疑わざるを得ない。例えば“慰安婦問題”に対する日本政府の公式的な立場は1993年河野談話の継承だ。歴代どの政府もこれを否認しなかったし、河野談話の検証を試みた安倍内閣でさえも河野談話の継承を表明した。しかし、問題は相変らず日本政界の中でこれを否定するような発言と行動が続いているという点だ。

 一方、日本の立場でも韓国を信頼することは容易ではない。特に慰安婦合意の形骸化を目の前で経験した日本にとって、韓国の政権交代はまた別の変数と見なされる。すなわち、次期政権の対日政策と過去問題解決の方向性が分からない状況で、生半可に韓国と合意をすることは、かえって危険負担が大きいのだ。

 さらに最近、慰安婦問題、強制徴用問題など同一事案に対する韓国司法府の異なった判断がある。これは外交的解決の空間を広げるが、同時に韓国に対する信頼を低下させ、韓日関係の不安定性を加重させていると見ることができる。

 このようにお互いを信じることができない状況で続く大小の真実攻防と、激しい言い争いは両国間の不信を蓄積させ信頼関係に大きな損傷を負わせている。まず座って対話し解決策を模索しようという韓国と、形だけの対話より実質的な結果を望む日本との激しい綱引きが続き、対立の膠着(こうちゃく)状態も当分続くものと展望される。

 22日は韓日国交正常化56周年だ。深まる両国の不信の壁を崩すことは容易くはないだろうが、多くの困難の中でも対立を共に克服して現在に至ったこの50年余りの歴史を再検証して、もう一歩前に歩み出す勇気が必要だ。

(崔恩美(チェウミ)峨山政策研究院研究委員、6月18日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

ポイント解説

日本が「頑な」に映る理由

 このところ韓国側からの日本アプローチが続いている。メディアも概ね韓国政府の試みを肯定的に捉え、それに応えない日本を「小児的」と批判する政治家の声を伝えている。

 実際、菅義偉政府は対韓関係を進める気がない。G7での会談なしにそれが表れており、文政権とは話し合いをするつもりはないらしい。こうした日本の態度はおそらく外部から見れば頑なに映るだろう。日本をこれほど頑なにした理由は、韓国が「日本の謝罪の真実性を疑う」ように、日本は韓国の約束履行を疑わざるを得ない事例が、それこそデジャブのように続くからだ。

 韓国の主張は「日本の反省と謝罪が言葉だけのもので、心から認めてはいない」という疑心だ。なぜか。常に日本の一部から否定見解が出るからだ。なぜ、否定見解が出るかと言えば、韓国側の主張に納得していないからである。

 「心からの謝罪」とは問われている罪を完全に認めた時にできる。しかし、いわれのない罪、冤罪が混じっているとすれば、納得した謝罪はできない。

 だから、韓国側は日本がぐうの音も出ないほど確かな証拠を突きつけて、しかも公正、正当に裁くことだ。日本人は自ら罪を認めれば潔い民族だ。しかし、曖昧で都合のいい証拠、捏造(ねつぞう)、計略、果ては妄想で裁かれたならば、到底納得できない。無念、怨念だけが残る。

 幸い最近、両国の研究者によって次第に事実が明らかになってきている。韓国側から慰安婦運動の欺瞞(ぎまん)も暴かれるようになった。学問的自由、言論の自由がお互いに保障された中で、真実追及が続けられていくことを願う。

(岩崎 哲)