リムパックから中国を排除 米、南シナ海軍事化で牽制
米国防総省は23日、中国が南シナ海の軍事拠点化を進めているとして、今年の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」に招待しないことを明らかにした。貿易、北朝鮮の問題をめぐり両国間の緊張は高まっており、今後、いっそう険悪化する可能性がある。
国防総省のローガン報道官は声明で、中国の演習不参加を発表、南シナ海の軍事拠点化は「緊張を高め、地域を不安定化させるだけだ」と中国を強く非難した。
中国は南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島に、対艦ミサイル、地対空ミサイル、電波妨害機器を配備、西沙(パラセル)諸島のウッディー(中国名・永興)島には戦略爆撃機を着陸させたばかり。これについてローガン氏は「軍事力を通じて南シナ海の領有を主張しようとしていることは明らか」と中国を牽制(けんせい)。「南沙諸島を軍事拠点化しないという(習近平国家主席の)約束に反する」と不快感をあらわにした。
中国側はこの発表に強く反発、王毅国務委員兼外相は、ワシントンでポンペオ米国務長官との会談後行った会見で、「非建設的」で、米中間の「相互理解に貢献しない」と強く抗議した。
議会からはこの決定を支持する声が上がり、共和党のギャラガー下院議員はツイッターに「南シナ海での無謀な行動がどのような結果を招くかを中国指導部に示す強いメッセージとなる」と投稿した。
中国は2014年と16年の2度、リムパックに参加。いずれもオバマ前政権下で、今年の演習にも参加する意向を示していた。
だが過去の演習で中国軍の行動が波紋を呼んだ。14年の演習では、東調級情報収集艦を海域に展開させ、参加国間の通信を傍受していた。情報収集艦は、演習には参加していないが、期間中、演習が行われていたハワイ近海にとどまっていたという。
リムパックはほぼ隔年でハワイ近海などで実施され、今年は6月27日から8月2日、25カ国以上が参加して実施される。
(ワシントン・タイムズ特約)