台日の友好関係は相互理解と信頼の上に 謝長廷氏

台湾特集

台北駐日経済文化代表処 代表 謝長廷

 中華民国(台湾)の蔡英文総統は、5月20日に就任2周年を迎えました。この間、台日関係は各分野においてさらなる進展を遂げており、双方の人々の絆もより一層深まっています。今年2月7日未明に台湾東部の花蓮で発生した震災に際しては、安倍首相をはじめ日本政府関係者からのお見舞いのメッセージや各界の皆様から多くの義援金や励ましをいただきました。この場をお借りし、日本の皆様の温かいお心遣いに深く感謝申し上げます。

謝長廷氏

 現在、被災地はすでに復興に向けた取り組みが進んでおり、「観光都市 花蓮」はこれまで以上に日本の皆様のご来訪をお待ちしています。台日間は観光面でも相互往来者数が毎年増加し記録を更新し続けており、昨年は651万人を超えました。台日高校生の修学旅行での相互訪問も着実な増加を示しており、とりわけ日本の高校の海外修学旅行先では、「台湾」が学校数、人数共にトップとなっています。これは次世代の台日関係を担う若者の相互理解を深める上で大いにプラスとなります。

 昨年11月、当駐日代表処が日本人に対して行った台湾に対する意識調査でも、半数以上が台湾は信頼でき、台日関係も良好だと回答しました。この点からも、友好関係は相互理解と信頼の上に成り立っており、関係は盤石であることが示されています。

 私は駐日代表として一昨年6月着任以来、地方との交流にも力を入れており、これまでに日本の都道府県全てを訪問しました。近年、台日の地方自治体間をはじめ、観光、経済、教育などの交流はきわめて活発であり、双方間でこれまでに101もの友好交流協定が締結され、その内の43の協定は私が着任後に実現したものです。双方の地方議員間の交流促進を目的に始まった「台日交流サミット」もこれまでの3回はいずれも日本で開催されてきましたが、今年7月には台湾の高雄市で開催されます。これにより、台湾の地方議員がさらに多く参加できる機会にもなり、交流がより一層深まるものと期待しています。

 その一方で、国際社会における中華民国(台湾)は、困難な立場に置かれています。毎年5月に開催される「世界保健機関(WHO)年次総会」(WHA)は21日より開幕しますが、台湾には今年も招待状がまだ届いていません。人の往来がボーダレス化している中で、台湾がWHAに出席してこそ世界の防疫ネットワークに空白地帯を失くすことができるのです。4月より台湾や日本などで流行している「はしか」の感染拡大の速さからも、台湾のWHO参画の必要性をご理解いただけるはずです。日本の超党派の国会議員280余名で構成された「日華議員懇談会」が今年3月、「台湾のWHAオブザーバー参加を支持する」決議を可決されたことは、台湾にとり大きな励みとなるものであり、深く感謝の意を表します。

経済面においては、今年3月に日本など11カ国による「包括的および先進的環太平洋パートナーシップ協定」(CPTPP))の署名が行われましたが、台湾もCPTPPへの加盟、日本との「経済連携協定」(EPA)締結を切望しています。今後も日本政府による引き続きのご支援とご支持を願っています。

台湾の今年後半の大イベントの1つとして、11月3日から台中市で「台中フローラ世界博覧会」(花博)が半年近くにわたり開催されます。環境保護のテーマなどを盛り込み趣向を凝らした花博を準備し、日本の皆様のお越しを心より歓迎しています。