インド・米フォーラム アジア太平洋で影響力拡大する中国へ、対応で連携急務


 インドのニューデリーで6、7の両日「インド米フォーラム」が開催され、参加者らは、中国のアジア太平洋地域での勢力拡大を受けて、米国とインドの軍事的関係の強化、民主主義と資本主義の理念に基づく開発・投資計画の促進の必要性が高まっていると訴えた。

 米国のウェルズ国務副次官補(南・中央アジア担当)はワシントン・タイムズに、中国が提唱するシルクロード経済圏構想「一帯一路」について、インフラ整備計画に資金を投入し、アジア・太平洋地域の資源を獲得しようとしていると懸念を表明、中国がインド、スリランカ、ネパール、パキスタンで大量の資金援助を行って開発計画を進めていることについても、「透明性と持続性を欠き」、被支援国に「略奪的債務」を負わせていると警戒感をあらわにした。

 また「インド、米国、日本、オーストラリアなどで、…最高水準の代替案、選択肢、実用的資金供与を提供する必要がある」と、中国への対抗の必要性を訴えた。

 中国政府は、南シナ海の島々に基地を建設、中国の資金援助で建設されたスリランカやパキスタンの港に潜水艦、艦船を派遣している。

 インド海軍のプラディープ・チョーハン元副司令官は「中国の活動が弾みとなり、インドと米国は、双方の海軍同士、国同士の関係を強化し、行動することを迫られるようになった」と米印間の軍事協力が強まっていることを強調。両国は中国の原子力潜水艦を追跡し、「『目を光らせている』という明確なメッセージを中国に送るべきだ」と主張した。

 インドのシンクタンク、タクシャシラ研究所の共同創設者ナティン・パイ氏は、「インド洋での軍事面などでの中国の影響力を抑えなければならない。ほかに選択肢はない」と危機感を募らせる。

 パイ氏は、投資は純粋に商業的なものだと中国は主張するが、インド洋地域の港湾への中国の投資は、軍事戦略に裏打ちされたものだと主張、「軍事オプションを用意していることは明らか。これらの港湾を軍事目的に利用することは容易だ」と平和目的との中国の主張を一蹴した。

 その上で同氏は、インド海軍は、米国、日本、オーストラリア、韓国、ベトナムなどとの合同演習を通じて、中国が領有を主張する東アジアの海域にまで進出すべきであり、「シンガポールの東側に海軍を送り、西太平洋のパワーバランスに積極的にかかわっていくべきだ」と訴えた。

(ワシントン・タイムズ特約)