フェイクに巨額の罰金
地球だより
マレーシアでもフェイク(偽)ニュースが出回り、いわゆる炎上騒ぎが起きている。写真投稿サイト・インスタグラムに、整形手術にはまったアニメ好きの青年に対して根拠のない噂(うわさ)が流されたり、人間の顔に似た獣が発見されたという動画を信じた人々で騒然としたりといった具合だ。
そのような中、連邦議会下院はこのほど、「フェイクニュース対策法案」を賛成多数で可決。事実に基づかない情報発信への罰則を強化した。
偽ニュースを発信した個人や団体に、何と最大50万リンギット(約1400万円)の罰金と6年以下の禁固刑が科されることになるのだ。
表向きは、嘘(うそ)や風評に基づく中傷などで社会の混乱を招かないようにとのことだ。
しかし、野党や市民団体が懸念しているように、総選挙を控えた与党の選挙対策が本当の理由だろう。
というのもナジブ首相は、政府系投資会社ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)から自己の個人口座に約7億ドルが送金されたという汚職疑惑報道にさらされ、苦しめられた経緯がある。与党の統一マレー国民組織(UMNO)の長老であるマハティール元首相でさえ、公然とナジブ首相辞任を要求したほどだ。
こうした疑惑報道が総選挙の流れを一気に変えることもあり得ることから、法的なけん制に動いた模様だ。
フェイクニュースの炎上騒ぎも政治的な季節風に巻き込まれている。
(T)