露傭兵、アフリカで存在感


次期米軍司令官が懸念

 米アフリカ軍の次期司令官スティーブン・タウンゼンド大将は上院軍事委員会での承認公聴会で、ロシア人「傭兵(ようへい)」がアフリカで存在感を強めており、ウクライナのクリミア半島やシリアでのような軍事的成果を挙げるのではないかと懸念を表明した。

 タウンゼンド氏は、傭兵らは軍に助言を行ったり、要人の警護に当たったりしていると指摘、「準軍事的な存在であり、クリミアとウクライナで見たように、本当の軍隊なら取らないと思われる行動を取ることもある」と懸念を表明した。

 ロシアの民間警備企業は、ロシア軍の直接の指揮下にないものの「ロシア軍とともに訓練を受け」、ロシア政府からは非公式な軍の一部門とみられているとタウンゼンド氏は強調した。

 ロシアは2014年、クリミア半島に特殊部隊とともに傭兵を派遣した。傭兵らはクリミア併合で重要な役割を果たし、その恰好から「リトルグリーンメン(緑の小人たち)」と呼ばれている。

 ロシア人傭兵らは既にアフリカにも進入、カダフィ政権崩壊後、分断が続くリビアでは、軍事組織「リビア国民軍」を率いるハフタル将軍を公然と軍事的に支援している。

 米紙ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、スーダンでは、バシル大統領のロシア政府への要請を受けて、反政府組織の取り締まりで軍を支援。マリ、ニジェール、チャド、ブルキナファソ、モーリタニアからも軍事支援の要請を受けていると報じられているが、その一方でトランプ政権はアフリカ駐留軍の縮小を検討している。

 タウンゼンド氏がシリアの過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦を指揮していた昨年2月には、デリゾール近郊の戦闘で200人近いロシア人傭兵が死亡した。これらの傭兵を雇用していたロシアの軍事企業ワグナーは現在、アフリカでも活動している。

 アフリカでは中国もインフラ整備などで進出し、影響力を強めている。タウンゼンド氏は、ロシア、中国のアフリカ進出は「ひも付き」であり「米国のアフリカ大陸への関与に影響を及ぼす可能性があり、懸念材料だ」と指摘した。

(ワシントン・タイムズ特約)