日本の技術支援に期待ブルンジのヌダイゼイエ前大統領に聞く

最大の課題はエネルギー確保

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 アフリカ中部ブルンジのドミシアン・ヌダイゼイエ前大統領はこのほど都内で、世界日報のインタビューに応え、1993年から10年以上にわたった内戦を克服し、現在の最大の課題は経済と復興だと強調、日本の技術支援に強い期待を表明した。

 ヌダイゼイエ氏は、隣国タンザニアで交わされたアルーシャ和解合意に基づいて、内戦を戦ったフツ族とツチ族の間の共存がすでに可能になっていると強調した。だが、経済的な復興は進んでおらず、産業育成のための技術の確保と「エネルギーの獲得が今の最大の課題」であることを明らかにした。

 また、教育や労働者の訓練が進んでおらず、産業化を進めるのが困難なのが現状だ。ヌダイゼイエ氏は「技術支援を通じてわが国の地位の向上に手を貸してほしい」と日本の高い水準の技術に対し強い期待を表明した。

 日本は、食料、医療、交通機関の整備などで支援を行ってきた。昨年度は難民のタンザニアからの帰還支援を実施、帰還難民の雇用確保などで成果を上げている。

 一方で、インフラ整備などで中国が支援を行っていることについて「質はあまりよくない」と国民の間に不満があることを指摘した。ブルンジでは、多数派のフツ族系大統領の暗殺を機に少数派ツチ族との間で激しい内戦が勃発、死者は30万人に達した。現在は、憲法に基づいて両民族間で権力の分配が行われている。

中国の支援に不満も

ブルンジのヌダイゼイエ前大統領との一問一答

 ブルンジのヌダイゼイエ前大統領との一問一答は次の通り。

 ――10年余りの内戦を経て、民族間の和合はどの程度進んでいるか。

 交渉を経て、和解へのプロセスがタンザニアのアルーシャで行われ、2000年8月に合意が成立した。「平和と和解の合意」に基づいて共存が始まっている。このプロセスは非常に順調に進んだ。国民の90%の支持を得て憲法も制定された。憲法では、フツ族とツチ族の権力の分配が決められている。

 今はすべての機関で権力の分配が行われている。今はフツ族とツチ族の地位をめぐってどんなストレスも感じていない。大切なのは、すべてのことにフツ族、ツチ族双方がかかわっていると感じることだ。

 ――インフラ、農地の整備など経済的復興は進んでいるか。

 現在の主要な問題、課題は開発であり経済だ。多くの経済的問題が残っている。まず道路が必要だ。エネルギーに関しても大きな問題を抱えている。そのためエネルギーをもっと確保できるよう国際通貨基金(IMF)に強く働きかけている。

 ニッケル、石油、金など天然資源はあるが、生産することができない。生産するためには資金と技術が必要であり、資源を産出できれば、輸出することもできる。エネルギーの獲得が今の最大の課題だ。

 ――日本からも難民の帰還支援、食糧援助などの支援がなされたが、ブルンジの平和と安定のためにどのような支援を望むか。

 難民帰還への支援では日本政府に深く感謝している。タンザニアから多くの難民が帰還することができた。だが貧困の問題がある。生活の糧を得る手段がない。国民の90%は農業に従事しているが、農地が少なく、帰還難民のための土地がない。教育、技術、産業が必要だ。それらが整えば周辺諸国との競争も可能になってくる。

 欧州から組織的な支援を受けてきた。だが、もっと現実的な支援も必要だ。産業を育て、経済を強化するには技術が必要だ。日本がブルンジを支援してくれるなら、技術支援を通じてわが国の地位の向上に手を貸してほしい。それができるのは日本だと思う。

 ――中国のアフリカ進出が著しいが、ブルンジにはどのような関与をしているか。

 中国はアフリカ中の国々に浸透している。さまざまな国、政府と協力している。ブルンジもそうだが、経済に好転は見られない。大統領官邸、財務省は中国が建設した。道路の建設にもかかわっている。価格が安いからだ。だが建設された道路の質はあまりよくない。半年、1年で壊れてしまう。そのため、ブルンジ国民はよく思っていない。

 議会間の協力もあり、今週、20人の議員団が中国を訪問する予定だ。私も参加する予定で、中国に3週間滞在し、さまざまな場所を訪れる。

 貧困である間はどんな支援も受け入れざるを得ない。ブルンジには中国からの輸入品もあるが、短期間で壊れてしまうものが多い。ブルンジのトレーダーは今後日本に来るようになるだろう。それは、日本にとっても、ブルンジにとっても利益になることだと思う。

(聞き手=外報部・本田隆文)