人命より理念優先?

 4月14日に熊本で震度7の地震が発生。16日にはそれを上回るマグニチュード7・3、震度7の地震が熊本を襲った。その後も余震が続いている。

 熊本では阿蘇山の噴火による被害や、梅雨の時期の長雨、台風による河川の氾濫や土砂災害には、慣れっこになっていた。私は防衛大学校に入学するまで、熊本で生まれ育ったが、今回のような地震が熊本で起こるとは想像もしていなかった。熊本県民の多くが同じ思いだろう。

 安倍政権は、阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓から、迅速な動きを見せた。自衛隊の派遣規模(約2万5000人)もすぐに決定された。今年4月に新潟県上越市にある第2普通科連隊(高田駐屯地)に連隊長として着任したばかりの防衛大の後輩も、17日には隊員とともに熊本に前進し、阿蘇で災害派遣任務に就いた。

 地震などの「天災」が起きることは人間の能力では防ぐことができないが、その後の対応がもたつけば「人災」となることは、阪神・淡路大震災の時の村山政権や東日本大震災の時の菅政権で証明済みだ。

 実際、村山富市首相(当時)の初動対応は遅れ、多くの批判を受けた。福島第1原発を視察した菅直人首相(当時)は苛立ちから周囲を怒鳴りつけてばかりで、現場の足を引っ張った。これは同原発の吉田昌郎所長による「吉田調書」でも明らかだ。

 今回初めて米軍のオスプレイによる物資輸送が行われている。オスプレイ配備に反対してきた勢力(一部の政党、マスコミ、市民グループ)は、物資輸送に使用することにも反対している。反対派は人命よりも自分たちのイデオロギーのほうが優先されるとでも思っているのだろうか。

 米軍は東日本大震災でトモダチ作戦を展開し、被災地の人たちに感謝された。同様にオスプレイによる物資輸送に、熊本の被災地でも感謝の声があがっている。これはまぎれもない事実だ。

 反対派の姿勢は、人命をおろそかにし、被害を拡大させることにつながると思うが、本紙読者の見解は如何に。

(濱口和久)