令和参院選 大阪、残り1議席争う立・維・共


令和参院選 注目区を行く(1)

 「梅村さんの熱い思い、伝わったで!」  気温が30度近くまで上昇し強い日差しが照り付けた7日正午、堺市堺区の堺東駅前で行われた維新の新人・梅村みずほの街頭演説会では活気にあふれた声援が飛び交った。梅村が「維新は身を切る改革で教育無償化を実現してきた。私も子供たちのために命を張ります」とこぶしを振り上げて訴えると、ひときわ大きな拍手が沸き起こった。聴衆から「維新が国政で頑張ってくれや!」と声が掛かると、梅村は任せてくれと言わんばかりに大きくうなずいた。

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 大阪は改選4議席に対し、12人が立候補した。今年に入って大阪府知事・市長のダブル選、衆院補選、堺市長選と、連勝で勢いに乗っている維新が2議席獲得に乗り出し、主要政党間の激戦区となった。各種世論調査で頭一つ抜け出しているのは、前回105万票を獲得し1位当選を果たした維新の東徹、候補者を1人に絞った自民の元府知事・太田房江、安定した組織票を持つ公明から出馬し、前回70万近く得票した杉久武。最後の1議席をめぐって、維新の梅村、立憲の亀石、共産の辰巳が熾烈(しれつ)な戦いを繰り広げている。

 維新は、16年選挙で2人を擁立し、それぞれ72万と66万票を獲得。票の分配に成功して2人を当選させた。党は連日、馬場伸幸幹事長を梅村の応援に付かせ、「もう一人はいいから梅村さんに入れて!」と必死に呼び掛けている。東陣営は梅村との得票バランスも気にしつつ、「目標としては70万~80万票以上は欲しい。基本に忠実に、一人でも多くビラ配りや握手をやっていくしかない」(政策秘書)と地道な選挙戦を展開している。

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候補者の演説を聞く有権者ら=6日午後、大阪市北区で

 「消費税10%断固反対、戦闘機買うお金で教育の無償化ができる」と政権批判を繰り広げるのは立憲の新人・亀石倫子。大阪市北区の天神橋筋六丁目駅前では6日、枝野幸男代表らが応援に駆け付けた。民主党が野党となって以降、大阪では旧民主系候補の得票は30万票程度にとどまっている。「13年には民主の票が共産に流れたが、立憲という新しい政党に期待する声もある。民主党時代の票が戻ってきたら50万票以上は行くだろう」(選対幹部)と期待を込めて展望する。

 一方、「維新のチラシを見ても、どこにも府民の懐や中小企業の所得を上げるとは書いていない」と、自民批判に重点を置く亀石と違って維新批判を中心に据えるのは、共産現職の辰巳孝太郎。共産と維新は、政党助成金をめぐってツイッター上でも批判合戦を展開。維新の会代表代行を務める吉村洋文知事が、共産党の資金源である機関紙「しんぶん赤旗」が全国の自治体で公費購読されている問題を指摘し、「政党助成金を返上しろというなら赤旗を役所で売るのをやめたらどうか」と鋭く批判した。

 辰巳は前回46万票で4位当選。共産が15年ぶりに大阪で獲得した虎の子の1議席だ。今回は、それを死守するため、主婦や学生など一般市民らがスピーチを行う「応援街宣」を開催するなど、党支持者だけでなく無党派層への広がりを狙う。(敬称略)

(2019参院選取材班)