令和参院選 東京、当選圏へ与野党混戦続く


令和参院選 注目区を行く(5)

 東京では、連日の雨空の下、与野党入り乱れて熾烈(しれつ)な戦いが繰り広げられている。

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 改選議席が1増えて6となったが、自民2、立憲2を含む20人が立候補。2013年の前回選挙で上位を占めた自民・丸川珠代、公明・山口那津男、共産・吉良佳子の現職3人が今回も有利な戦いを進めている。

 106万票を集めトップ当選した丸川の人気は健在。7日のJR中野駅前で安倍晋三首相を迎えて行った演説会では、「安倍帰れ」コールで会場が騒然となったものの、身動きが取れないほどの人が押し寄せた。

 4期目を目指す公明代表の山口は前々回、前回といずれも80万票近くを獲得。支持母体の創価学会の全面支援を得て、安定した戦いを続ける。前回、約70万票で初当選を果たした吉良も共産支持層の大半を固め、「何としても2期目の国会に押し上げて」と訴える。

 今回の最大の波乱は、前回66万票超で4位当選した山本太郎が「れいわ新選組」を立ち上げ、選挙区を沖縄創価学会壮年部に所属しながら、辺野古基地反対を訴える野原善正に譲り、自らは比例に転出したこと。野原も山本を推す革新票を引き留め、学会票まで引き込もうと努めるが、知名度不足がネック。残る3議席をめぐる激戦に山本票の流れが与える影響は小さくない。

 立憲は、塩村文夏、山岸一生の新人2人を擁立。枝野幸男代表がJR新宿駅での第一声で「2人当選のため1票を有効に使って」と訴え、連休最後の15日にも東京で「大街宣」を予定するなど、2議席確保に並々ならぬ意欲を見せる。

 元都議の塩村は都議会での「セクハラやじ」で注目され、年初までは出身地の広島で国民から衆院選出馬を準備していたが、「政策が近く、女性の意見を多様に受け入れる」立憲に転身した。遊説では雇用問題や動物愛護と共に「女性の声を国会に」と訴える。

 知名度で劣る山岸は、元記者の経験を生かし、選挙活動の様子をまとめた「一生新聞」を連日のように更新しSNSでアピールする。選対幹部は「前回(山本)太郎さんを応援していた人が応援してくれている」と語るが、立憲以外の票の取り込みが課題。塩村が区部、山岸が西部および多摩地域で、票のすみ分けを図るが、14日には山岸が公示後初めて東部(江東区、葛飾区など)で演説を行った。

 5期目を狙う自民の武見敬三は、丸川に知名度は劣るが、前回は60万票超えで当選圏に滑り込んだ。選対関係者は今回「かなり厳しい戦い。無党派層に実績をどこまで知ってもらえるかがカギ」と危機感をにじませるが、医師会の基盤を核にして地道な票の掘り起しに努めている。

 東京での飛躍を狙う維新は元都議の音喜多駿を擁立。街頭では走って通行人に握手を求め、12日には維新比例の柳ケ瀬裕文とJR山手線沿いを自転車で一周して演説するなど「若さ」を前面に。一方、宇宙航空研究開発機構(JAXA)職員で「宇宙かあさん」こと水野素子(国民)は知名度を高める戦い。人気アニメのコスプレで玉木雄一郎代表とトークライブを開催(7日)するなど、親近感をアピールし、追い上げを図っている。(敬称略)

(2019参院選取材班)