G20会合閉幕、エネルギー安保も言及
海洋プラ削減で国際枠組み
長野県軽井沢町で開かれていた20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合は16日、海洋プラスチックごみ削減に取り組む国際枠組みの創設、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の合意内容を完全に実施することを再確認する―ことなどを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。
共同声明はまた、中東ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃を踏まえ、「最近のエネルギー安全保障に関する懸念の高まり」に言及。エネルギー供給の途絶を防ぐため、関連インフラの保護や開発などの重要性も強調した。
海洋プラごみ対策について、共同声明は「緊急の行動が求められる問題」と指摘し、各国がプラごみの流出抑制や大幅な削減に向けた国内的取り組みを速やかに実施し、「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」を策定すると明記した。今後、各国がプラごみの適正な回収と管理や、リサイクルの促進などの対策を実施し、定期的に国際会議で報告し、共有することで実効性のある対策を講じていく。初回の報告は今秋ごろ、日本で行われる方向だ。
地球温暖化対策では、「パリ協定」への言及をめぐり、協定に基づく対策強化を求める欧州や協定からの離脱を表明している米国などから異論が続出。共同声明の発表が当初の予定より大幅に遅れた。世耕弘成経済産業相はこれについて、「パリ協定に言及しつつ、米国も含めすべての国がアクションを起こすことになった」と述べ、「100点満点の完全なコミュニケができた」と胸を張った。
会合ではこのほか、エネルギー分野の技術革新を通した環境と成長の好循環を加速するため、民間部門を含む各レベルでの取り組みを強化する「G20イノベーションアクションプラン」が採択され、共同声明に盛り込まれた。
原田義昭環境相は今会合について「課題解決に向け一致したメッセージを持つ宣言で合意できた」と評価。「大阪G20にこの成果をつなぎ、課題解決に向けた取り組みを一層推進していく」と述べた。