G20環境相会合、日本がリードし問題解決を


 長野県軽井沢町で開かれた20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合が閉幕した。採択された共同声明では、海洋プラスチックごみ削減へ各国が協調して取り組む国際枠組みの創設や、エネルギー安全保障の重要性が確認された。

 最重要の懸案事項であり、日本が主導し事を成していかなければならない。

 「地球益」を中心に

 近年、最も厄介な地球環境問題の一つがプラごみによるものだ。世界では年800万㌧以上のプラごみが海に流出し、魚が誤って食し体内に蓄積されるなど生態系にも影響を与えているとみられる。

 会合では、プラごみ削減に向け、各国の自主対策の内容を定期的に報告・共有する国際枠組みの構築を日本が提案し、賛同を得た。

 日本は2017年に903万㌧のプラごみを排出しており、35年までに全てのプラごみを有効利用する目標を5月に定めた。カナダや欧州各国でもプラごみ対策が進んでいる。一方、先進7カ国(G7)を除くG20各国の海への流出量は全体の4割を占めるとされるが、取り組みは進んでいない。

 国際枠組みの創設でプラごみ対策の輪を確立し、その輪に新興国や途上国をいかに引き込み、流出防止につなげるかが、最も重要な課題だ。

 また、プラごみ問題を含め、地球環境問題は政治問題でもある。つまり大国間で国益を超えた地球益という考え方を貫くことができれば、速やかに解決する問題でもある。

 日本は過去に国内の環境汚染問題を克服した実績を持ち、各国も一目置く存在だ。日本は地球環境問題で世界をリードしていかなければならない。平たく言えば、従来の外交理念とそれによる活動を、環境問題の視点から地球規模に広げていけばいいのである。

 プラごみ問題では、微生物によって分解される素材製品の開発とともに、プラごみ自体を減らすことが重要だ。国内のレジ袋の有料化は来年4月1日にも開始する方針だが、地球環境を乱す生産者に対しては国民も不買運動をするなど手厳しい対応も必要だ。

 一方、今会合では地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」をめぐる調整が難航したが、共同声明で協定署名国が、合意内容を完全に実施することを再確認した。

 例えばアフリカでは、地球温暖化による弊で、経済の急速な発展と環境の保全が相容(い)れなくなっている。特に水の不足や汚染の問題は、自然が実は有限であったという当然の事実を前にしてますます深刻化している。パリ協定の完全実施の合意は大きな成果である。

 また共同声明では、日本が重視する高性能石炭火力発電や二酸化炭素の資源活用の可能性にも言及した。水不足や水汚染問題解決のための技術開発も焦眉の急である。

 科学技術の力も重要

 科学技術の力で、これまでにない新しい素材やサービスを生み出すイノベーションを実現する重要性はいうまでもない。ここでも日本の役割は大きい。