安倍首相訪米、大きな成果 親密な関係を世界に示す
安倍晋三首相の訪米は日米同盟の強固さを世界に示すことができたほか、「ゴルフ外交」でトランプ米大統領との絆を深めるなど狙い通りに終わったといえる。
首脳会談後に発表された共同声明は日本が期待したことがほとんど盛り込まれ、安全保障では「満額回答」といえる内容だった。それどころか、トランプ氏は共同記者会見で為替・通商政策での対日批判を控え、「日本の米軍受け入れに感謝したい」とまで述べ、関係者を驚かせた。
ただ、トランプ氏に対する日本の疑念が完全に晴れたわけではない。トランプ氏は会見で、中国が経済面で譲歩したらアジア太平洋地域の政策が変わるのかを問われたが、直接の回答は避けた。
また、日米首脳会談直前に習近平・中国国家主席と電話協議を行い、「一つの中国」の原則を堅持する考えを伝えるなど、これまでの発言を突然翻したこともアジア政策が依然として不透明だということを印象付けた。
それでも、初の首脳会談で首相が別荘に招待されるなど異例の厚遇を受けたことは大きな意味を持つ。
北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、詳細な事前協議なしに両首脳がすぐ記者発表に臨めたのも、安保で意思が共有できていることに加え、しっかりとした信頼関係を築けた結果といえるだろう。
安倍首相は「トランプ大統領との首脳会談において、米国は常に100%、日本と共にあると明言した。その意思を示すために、いま私の隣に(大統領が)立っている」と述べ、トランプ氏との良好な関係を強調した。
日米首脳会談は欧米メディアが詳報したほか、「世界中の同盟国や関係国が注視していた」(ワシントン・ポスト紙)。
型破りなトランプ政権に対して、多くの国はまだ関係や距離感を定め切れずにいる。信頼構築ができた今回の訪米を機に、日本が米国と他国をつなぐ役割を担えれば、国際社会での影響力は確実に増すだろう。その意味で、日本がトランプ政権と親密な関係にあると世界に示せたことは大きな成果といえる。
(ワシントン岩城喜之)