河野氏が自民総裁選出馬表明  原発再稼働には「現実的」


岸田氏、高市氏に続き3人目

自民党総裁選の出馬を表明し記者会見する河野太郎規制改革担当相=10日午後、衆院議員会館(森啓造撮影)

自民党総裁選の出馬を表明し記者会見する河野太郎規制改革担当相=10日午後、衆院議員会館(森啓造撮影)

 自民党の河野太郎規制改革担当相(58)は10日、衆院議員会館で記者会見し、菅義偉首相の後継を選ぶ党総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補すると正式に表明した。河野氏の出馬は、野党時代の2009年以来、2回目となる。

 出馬表明は岸田文雄前政調会長(64)、高市早苗前総務相(60)に続き3人目。1週間後の告示日に向け、党内の攻防が激化しそうだ。

 「日本を前に進める」「自民党を変え、政治を変える」などのキャッチフレーズを掲げ、立候補を表明した河野氏は会見で、「皆さんの思いや不安を受け止め、情報を共有し、しっかりとしたメッセージを出し、皆さんと一緒に危機を乗り越え」る意向を示し、「人が人に寄り添うぬくもりのある社会をつくっていきたい」と述べた。

 安倍晋三前首相の看板政策「アベノミクス」について「企業は利益を上げることができたが、賃金まで普及しなかった」と問題点を指摘。その上で「個人を重視する経済を考えていきたい」と述べ、要請を待たずに行う「プッシュ型」の個人給付などを検討する考えを示した。

 エネルギー政策では、「原発を当面は再稼働するのが現実的だ」と述べ、持論の「脱原発」を封印。皇位継承の在り方に関しては、政府の有識者会議がまとめた結論を尊重する考えを示し、かつて言及した「女系天皇」容認論に踏み込まなかった。

 森友学園問題の再調査も「必要ない」と否定した。

 外交分野では、覇権主義的な動きを続ける中国に対し、「一方的な現状変更の試みには国際社会で一致して反対していく。それなりのコストが伴うことをはっきりさせなければならない」と明言し、民主主義や人権、法の支配といった基本的価値を共有する米欧などと連携して対処する方針を示した。

 会見に先立ち、河野氏は首相、二階俊博幹事長と相次ぎ面会し、総裁選出馬を報告。また所属する麻生派議員約25人との会合で支援を要請した。

 一方、岸田氏は業界団体とのオンライン対話など党員票対策を進めた。この後、河野氏を念頭に「私のアピールポイントはチーム力。怒鳴ってばかりではチーム力は発揮できない」と記者団に語り、対決姿勢を鮮明にした。

 高市氏は14日にも選対本部を発足させる方向で調整しており、河野氏出馬について記者団に「政策(論争)に厚みが出る」と語った。総裁選では石破茂元幹事長(64)と野田聖子幹事長代行(61)も出馬の可能性を探っている。