きょう米同時テロ20年 アフガン撤退も消えぬ脅威


米ニューヨークの世界貿易センタービル跡地を訪れる人々=8日撮影(AFP時事)

米ニューヨークの世界貿易センタービル跡地を訪れる人々=8日撮影(AFP時事)

 2001年9月の米同時テロ事件は11日、発生から丸20年を迎える。バイデン大統領は、ニューヨークと首都ワシントン郊外のテロ現場跡地、ペンシルベニア州シャンクスビルを訪れる。

 同時テロを受けアフガニスタンに20年間駐留した米軍の撤退に伴い、国際テロ組織アルカイダなどが勢力を再拡大させる懸念がある中、節目の日を迎えることになる。

 サキ大統領報道官は9日、バイデン氏が3カ所の同時テロ現場を全て訪問することについて、「大統領は20周年を記念して、多くの米国人、特に地域社会や命を落とした人々の家族にとって重要な意味を持つ3カ所全てを訪れることが重要だと感じた」と述べた。

 バイデン政権は、同時テロ20周年に合わせ、8月末までにアフガンから全ての米軍を撤退させた。しかし、イスラム主義組織タリバンによる権力掌握を許し、混乱を招いたことで、厳しい批判に直面した。

 アフガンの首都カブールで先月起きた過激派組織「イスラム国」(IS)系勢力による自爆テロでは、13人の米兵を含む多数の死傷者を出した。ミリー統合参謀本部議長はFOXニュースのインタビューで、「少なくともより広範な内戦が起きる可能性は非常に高い。それによって、アルカイダの再構成やISなど数多くのテロ組織の成長につながる可能性がある」との見方を示した。

  ABCテレビとワシントン・ポスト紙の世論調査によると、テロの脅威に関して、同時テロ以前に比べて現在の方が「米国はより安全になった」と感じている人は49%で、10年前から15ポイント減少した。こうした状況の中、バイデン氏がテロ根絶に向け、どのようなメッセージを打ち出すか注目される。

 米同時テロでは、ニューヨーク世界貿易センターのツインタワーとワシントン郊外の国防総省にハイジャック機計3機が激突し、ワシントンに向かっていたとみられる4機目は乗客の抵抗でシャンクスビルに墜落した。事件では計約3000人が死亡した。
(ワシントン・山崎洋介)