日本企業は取引停止を、ウイグル人強制労働で国際人権団体ら会見
中国企業と14社関与か
中国政府によるウイグル人を対象とした人権侵害について、国際人権団体ヒューマンライツ・ナウと日本ウイグル協会は8日、都内で記者会見を開き、取引を通じた「強制労働への関与」が指摘された日本企業に対し該当企業との取引停止などを求めた。
両団体は昨年12月、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の調査報告書を基に、ウイグル人の強制労働が指摘される中国企業と取引関係のある大手家電、アパレルメーカーなどの日本企業14社に質問を送付していた。各企業の回答では、すべての企業が強制労働の事実や取引自体を否定、未回答もあった。
日本ウイグル協会のレテプ・アフメット副会長は「第三者による監査を実施した企業については評価できるが、どこまで透明性のある調査ができたかは疑問が残る」と述べた。また、「自らの意思ではなく行政の主導で移動させられ、監視や洗脳教育を受けている状況は強制労働に当たる」と指摘した。
中国研究が専門の阿古智子東大大学院総合文化研究科教授は「民主主義国家と違い、私たちが悪いと思うことが中国社会ではそう認識されていないこともある。そんな国とどう付き合うか。外国企業や政府から調査を要望することが圧力になる」とし、「強制労働の可能性が否定できない限り、取引を続けることは疑念を抱かれかねない」と批判した。
この問題に対し、米国をはじめ各国政府は昨年から中国企業や政府に制裁を科しており、その中に日本企業との取引が指摘された企業も含まれている。
両団体は、該当企業の取引に関する説明責任、強制労働の事実が明確に否定できない場合の即時取引停止、是正措置と再発防止策の策定などを求めた声明を発表した。