残虐非道なタリバン、ガニ政権関係者への報復も
本紙元イスラマバード支局長 石川仁
米軍がアフガニスタン撤兵を発表した時点で、こうなることは分かっていた。だからこそ、これまでに何度も撤退の動きがありながら延ばし延ばしにしていた。しかし、これ以上介入を続けても、犠牲者を出すだけでメリットはないという判断だろう。
このままいけば当然、タリバン政権が樹立される。それを最初に承認するのは、間違いなくタリバンの背後にいるパキスタンだ。恐らく、パキスタンの後ろ盾であるサウジアラビアがそれに続く。
タリバンは狂信的なイスラム根本主義者で、残虐非道だ。ガニ政権関係者への報復が心配される。多くの国民はタリバンの恐ろしさを知っている。裁判なしで、リンチのかたちで行われるのが怖い。
ガニ大統領がパキスタンやイランでなく、タジキスタンに出国したのは賢明だ。1996年に共産主義者のナジブラ大統領がイスラム根本主義者に逮捕された時、局部を切断され、ロープで足を縛られ、ジープでカブール市内を引きずり回されて処刑された。
米国はタリバンの生みの親だが、タリバンをずっと支援してきたパキスタンに対し、もっと強硬に出るべきだった。パキスタンは、アフガンの米軍作戦に協力するポーズを取りながら、一貫してタリバンを育成、その作戦計画まで指導してきたからだ。
米国がパキスタンに対して強く出ていたら、タリバンがここまで勢力を伸ばすことはなかった。(談)