「中国が沖縄を統治した証拠はない」と強調
山田宏参院議員が浦添市で講演、歴史的な事実を示す
沖縄の地元メディアは、沖縄の歴史的な日本帰属について異議を唱えるという誤った論調を展開している。それに拍車を掛けるように、国連人権理事会では沖縄県民を先住民族とする勧告をし、翁長雄志知事が沖縄の「自己決定権」の回復を訴えている。こうした中、山田宏参院議員(自民)が26日、浦添市で講演し「中国が沖縄を統治した証拠はない」などと歴史的な事実を詳細に示して反論した。(那覇支局・豊田 剛)
屋良知事と対比し翁長氏を批判
独立狙う中国の戦略に加担、地元2紙も世論戦の片棒担ぐ
山田宏参院議員は「祖国日本の危機と沖縄の役割」と題する講演の冒頭、翁長知事と沖縄が祖国復帰した当時の屋良朝苗知事を対比させた。
「人道的立場、民族的文化的、県民の心情からしても、若い世代の教育を進めていきたい。真実の日本人として教育を施していきたい」
昭和28年の衆院の文部委員会で参考人として質疑に応じた屋良氏はこう述べた。
山田氏は「革新のシンボルでもある屋良氏が、日本が独立を回復して間もない時に、教育者として子供たちを真の日本人として育てるために沖縄復帰が1日も早く必要だと話したことが印象的だ」と強調した。
一方、翁長知事は昨年、ジュネーブの国連人権員会で琉球民族独立論に根差した発言をした。このことが沖縄を日本から分断し独立を目論(もくろ)む一部団体に利用される懸念が生じていることについて、山田氏は「屋良氏と正反対の方向の発言をしている」と批判。「沖縄を独立させようという中国の動きの中に翁長知事がどっぷり入っている。翁長知事と中国が対となって世論形成をしている」と警鐘を鳴らした。
沖縄独立に向けた動きに加え、山田氏は、中国は尖閣諸島を奪うため世論戦、心理戦、法律戦の「3戦」を使い、戦わずして勝つための作戦を沖縄県に挑んでいると分析した。中でも、「世論戦の片棒を担いでいる」ものとして、「琉球新報と沖縄タイムス」を名指しで批判した。
中国の沖縄に対する姿勢は3戦に歴史認識を加えたものだ。中国政府の公式見解は「沖縄の帰属は未定で、明治時代に日本が沖縄県を設置して強奪した」という立場だ。
「中国の野望を封じ込めるには歴史で対抗するのが最善」と山田氏は強調した。その関連で山田氏は去る6月5日、参議院決算委員会で安倍晋三首相から「沖縄は数百年前からわが国所属の一地方である」という答弁を引き出した。当時の岸田文雄外相も同様に発言。これは山田氏らが外務省に歴史的文書などを公開させるなどしたことから従来の政府答弁を覆させたものだ。
それまでは、鈴木宗男衆院議員が2006年に提出した「琉球王国の地位に関する再質問主意書」に対して安倍首相は当時、「沖縄がいつから日本の一部かということにつき確定的なことを述べるのは困難である」と回答していたからだ。
山田氏は、1609年以降に薩摩藩が琉球で検地を行ったことや、1617年に福建省の高官が琉球の日本統治を認めた資料を示しながら、「日本の統治を示す証拠はいくらでもあるが、当時、明や清が琉球を統治した歴史的証拠は一つもない」と述べた。
それに加え山田氏は、1879年に、寺島宗則外務卿が清国に対して主張した資料を紹介。「琉球が日本の南島であることは久しく、地脈は長く連なって続いています。その文字は日本のかな文字を使い、言語、神道、風俗、一つもわが国のものでないものはありません。日本の国史には、中国が隋や唐だった時代から、琉球が日本に朝貢していた歴史が記されています」と記されていると指摘した。
講演会は日本沖縄政策研究フォーラムが主催した。代表を務める仲村覚氏は、「歴史的事実を提示することで、国連、沖縄県知事、県議会の一部、さらには、県民投票を利用して沖縄の独立を目論む団体の動きを牽制(けんせい)している」と報告。フォーラムは最後に「沖縄の安全保障課題を総合的に調査、分析、研究し、その結果をまとめ、政府及び沖縄県などに沖縄安全保障政策の提言を行う」とする決議を全会一致で採択した。







