「星砂物語」映画化で戦争問う
沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)
4月下旬に開催された第9回沖縄国際映画祭で、作家・劇作家・演出家のロジャー・パルバース氏が自身の小説を映画化した「STAR SAND―星砂物語」が上映された。パルバース氏は日本で多くの戦争映画製作に携わってきたが、自身でメガホンを握ったのは今回が初めて。
ストーリーは太平洋戦争末期の時代設定。親類を頼って沖縄の小島で暮らし始めた16歳の女性が、洞窟で日本人とアメリカ人の脱走兵と出会う。仲間を裏切った葛藤を抱きながらも、3人は敵対感情を乗り越えていく。その中で、友情と愛情が芽生えるという人間模様を描き上げている。
原作を書くきっかけとなったのは、鳩間島に旅行した時に、星の形をした砂「星砂」を見つけたこと。鳩間島は戦争に巻き込まれなかったが、「(星砂と戦争を)いつか物語の題材にしたいと思った」という。上映後、「若い世代に戦争があったことを知ってほしい」とのメッセージを送った。
那覇市にある対馬丸記念館を訪れたというパルバース氏。そこで「亡くなった子供たちの写真を見ると涙が止まらなかった」という同氏は「二度と戦争を起こさないようにしなければならない」と語った。
作品を鑑賞した後、「最も醜いはずの戦争の中に最も美しい人間の物語がある」という那覇市在住の戦争ドキュメンタリー作家、上原正稔氏の言葉を思い出した。置かれた状況下でいかに最善を尽くすか、そして現在、何よりもいかに戦争を勃発させないようにするかが問われている。
「STAR SAND」は6月21日に沖縄で先行上映し、8月4日から全国で順次公開予定。
(T)