沖縄での公正な報道に期待
OKINAWA政治大学校名誉教授 西田健次郎
沖縄のマスメディア、特に新聞2紙(琉球新報、沖縄タイムス)の報道姿勢は明らかに偏向しており、客観的事実をまじめに追求すべき新聞本来の役割を放棄していると断ぜざるを得ない。
結果として、読者や多くの県民をミスリードする愚を冒し、マスメディア全体の信頼性を揺るがしている。事実とかけ離れた無責任な報道にあきれ、言論機関としてあるべき姿を求めるのは良識ある読者の願いであろう。
沖縄マスコミの内実を極めて象徴するような具体例を挙げよう。
昨年の平成26年12月9日、琉球新報と沖縄タイムスは、石垣市の中山義隆市長が市議会答弁で、同年11月16日に実施された沖縄県知事選挙の結果について「『マスコミがあまりにも仲井真弘多氏(当時の現職知事、落選)へのネガティブキャンペーンを張ったためだ』との見解を示した」と小さく報じた。中山市長の発言は、沖縄マスコミの一方的な偏向報道をズバリ指摘したのだ。
将来の日本の安全保障や日米同盟とも関連して、沖縄県知事選は全国的に注目されたが、普天間飛行場の辺野古移設「ノー」の「新基地」反対候補者が当選した。当時の現職知事が辺野古崎の一部沿岸埋め立てを承認した一年前あたりから徹頭徹尾批判キャンペーンを展開していた地元2紙は、選挙戦に入るや、「最大争点は新基地建設」と共産党など辺野古移設反対陣営のフレーズに乗っかり、ことさらに現職批判=新人有利の煽(あお)り記事を連日のように掲載したのである。選挙妨害とさえ言えるような常軌を逸脱した選挙報道は、中山市長ならずとも公正中立を標榜する言論機関のなす技とはとても言えるものでなかった。
中国海警局公船が日常的に領海侵犯を繰り返す尖閣諸島を行政管轄に置く石垣市並びに市民は、国防にはことのほか敏感だ。日本及び東アジアの平和と安定のために尖閣海域はぜひとも守らなければならないと考えるからだ。
しかし、「反日反米」を基調とする沖縄マスコミは、日本の領海が侵犯されてもほとんど取り上げないか、扱いが小さい。本土の有識者が指摘するように、「沖縄のマスコミは事実を公正に見ようとしない歪(いびつ)な体質だ」といわれても仕方ないだろう。
「慰安婦」問題や福島第一原発事故の「吉田調書」問題で、朝日新聞の捏造(ねつぞう)、虚報が明らかになり、テレビを含むマスメディアの責任が厳しく問われた。朝日新聞はかつて、1989年に沖縄海域のアザミ珊瑚に同社記者自身でキズをつけ、「誰がやったのか」と恥ずべき捏造記事をでっち上げた前歴ある。自社の主張に拘泥するあまり、捏造や虚報が生み出されたと推量できる。
このような事態にならないよう沖縄のマスコミにも事実と即した正確な報道を切に望むとともに、「沖縄で公正な報道に務めている新聞」と認識されている世界日報が確固たる基盤をつくり、更なる飛躍をとげることを祈念してやまない。