韓国優遇除外歪める「赤旗」 文政権の反日政策に呼応

安保上の「不適切」を否定

韓国優遇除外歪める「赤旗」 文政権の反日政策に呼応

反日デモでシュプレヒコールを上げる参加者たち=15日午後、韓国ソウルの光化門広場(森啓造撮影)

 共産党はもともとサンフランシスコ講和条約や日米安保条約に反対し、戦後体制に否定的な上、日韓基本条約にも反対した。この方向は、文在寅韓国政権の反日政策や過去の保守政権を否定する「積弊清算」とピッタリくるようだ。

 安倍内閣が2日、輸出手続き上の優遇対象国「ホワイト国」(同日、「グループA」と呼称変更)から韓国を除外する閣議決定をしたのに対し、機関紙「しんぶん赤旗」(8・3)は「安倍政権“禁じ手”の措置強行」(見出し)、「閣議決定の撤回を求める」「文大統領『無謀な決定』」(同)などの記事で批判した。

 共産党は、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の「徴用工」判決も支持しており、同じ紙面に載る志位和夫委員長談話で、優遇除外の「決定は、『徴用工』問題という政治紛争の解決の手段として貿易問題を使うという、政経分離の原則に反する道理のないものである」と主張した。

 が、問題になったのは安全保障上の輸出管理だ。そう指摘した菅義偉官房長官の記者会見に同紙も触れているが、「政府はこれまで一度も具体的事実を示して」ないとして、「そもそも、韓国に安全保障輸出管理上の疑義を訴えているのは日本だけです」と断言している。

 そうではない。韓国が不正を調べているのだ。朝鮮日報が5月に韓国から戦略物質の不正輸出が2015年から19年3月まで156件あり、昨年から急増中と報じた。7月にわが国でもこの156件について韓国政府の調査資料から報道された。その中には、日本製品に頼っている物資も含まれている可能性がある。

 「話し合いで外交的解決を」(見出し)との要求も、7月1日に政府が、韓国に対してフッ化ポリイミド、フッ化水素、レジストの3品目の優遇措置撤回と「ホワイト国」除外の方針を発表してから、文政権が言いだしたことだ。それまで、韓国は、日本が要請した輸出管理に関する協議に過去3年も応じなかった。

 併行して文政権は、「慰安婦」に関する日韓合意を一方的に破棄し、「徴用工」判決に日韓請求権協定違反を放置するなど国同士の合意や協定を無視した。これらの問題に「外交」を呼び掛けたのは、日本側だったのではないか。見出し文句は、先に文政権に発すべきだったはずである。

 また、同紙4日付は「対韓輸出規制に抗議」の見出しで、韓国でよく見られる「NOアベ」とハングルで書かれたパネルを掲げた人々が東京・JR新宿駅前で活動した記事を載せた。主催したのは「NO安倍に呼応する市民」という団体で、「聴衆」として参加した共産党議員(山添択参院議員)が「うながされてあいさつした」という。

 見え透いているが、同党は反安倍政権で日韓の左翼勢力連帯の推進役を買って出ている。同じ紙面で「ソウル集会に1万5000人」との見出しで韓国の反日運動の記事と抱き合わせてもいる。あたかも運動の鏡としたいようだ。

 そもそも共産党と朝鮮半島の左翼勢力は同根だ。半島も列島も日本だった終戦までの時代、共産主義・社会主義運動に朝鮮半島出身者も参加した。戦後に合法化された共産党の指導部にいた金天海はその代表的人物だった。

 その後、日本と朝鮮は分かれ、朝鮮も北朝鮮と韓国に分かれ、共産主義運動もバラバラになった。が、今日もなお共産党が他国の民族主義に便乗した反日統一戦線に呼応し、文政権の国際法違反は問わず、日本政府ばかり批判するのは共産党のイデオロギーの怖さであり、愚行と言えよう。

編集委員 窪田 伸雄