「公明」の日中40年特集 駐日中国大使が米国批判
対米統一戦線形成に加担
このところ公明党の機関誌「公明」には日中平和友好条約締結40周年の特集が目立つ。同誌9月号の特集「恒久平和への潮流を促進」には、山口那津男代表インタビュー「東アジアの安定を目指し幅広い交流が必要」、甲南大学教授・胡金定氏の「日中友好と公明党の役割/対決回避、対話重視で重責果たす」、中国の経済日報東京支局長・蘇海河氏インタビューが載った。
同誌10月号では特別企画「『日中平和友好条約』締結40周年」に、東日本国際大学客員教授・西園寺一晃氏と山口代表との対談「世界の平和と繁栄築く未来志向の外交・交流」、程永華・駐日中国特命全権大使インタビュー「両国間の信頼継承へ公明党の貢献が力に」―など、月刊で2回連続の特別企画だった。
同党の中国への思い入れは相当強い。「今年は『日中平和友好条約』が締結されて40周年、また公明党の創立者である池田大作・創価学会名誉会長による『日中国交正常化提言』発表から50周年の佳節です」(対談リード)と、母体の創価学会共々のレガシーだ。
ここで程氏は、同誌上でトランプ米政権を批判。記事は米国ともトランプ大統領とも活字にしていないが、「一部の国が“自国優先”主義を掲げている」「保護主義は、冷戦思考や覇権主義へとつながる」、(日中の)「両国がこの共通の脅威に対してともに声を上げるべきです」と唱えた。
また、「中国として明確に申し上げたいのは『貿易戦争はやりたくありません』ということです」と訴えるが、18日にトランプ政権は第3弾の対中制裁を発表。7月から始まった米国の対中制裁関税は米中貿易戦争の様相を見せ、情勢は緊張してきた。「公明」の特集に中国側の対米統一戦線形成の意図ありだ。
ところで、10月号対談で「中国の周恩来総理とも交流があり、日中国交正常化への史実を熟知する」と紹介される西園寺氏は、旧華族西園寺家の血を引く。父親は英国留学時に共産主義に傾倒し、戦時中にゾルゲ事件で逮捕され、戦後に日本共産党入党歴のある赤い元貴族・西園寺公一氏。父親と一家ごと中華人民共和国に移住し、日本共産党からは除名された。
同誌は公一氏について触れてない。が、一晃氏は「私が両親と北京に行ったのは1958年、中学3年生の時…両親と私と弟の4人でしたが、中国に行って間もなく、周総理のご自宅に招かれ、一緒に食事をさせていただきました」と振り返る。ただならぬ厚遇だが、対日工作の要人として期待されたのだ。
石橋湛山政権発足後、周恩来が「日中関係改善の下準備を進めようと、私の父に手伝ってくれる人の人選を頼んだんです。その際の条件が『右でも左でもない人。右にも左にもパイプを持っている人。私利私欲のない人』でした。公明党は、まさにそうですよね」とも一晃氏は語っている。当時の中国はソ連と米国と対立し孤立しつつあった。
中国共産党が創価学会に注目した経緯は同誌9月号で胡金定氏が触れている。日中国交正常化において「特筆すべき二人の自民党大物政治家は、戦後日中貿易の進展に人生を捧げた高碕達之助と松村謙三である」と指摘。「一九六〇年に訪中した高碕は、周恩来に…創価学会という団体を重視すべきだと伝えた」という。
つまり、64年に国政政党として公明党が結党する前に創価学会と中国とのパイプが作られ、「公明党が結成時に掲げた『中国との国交回復の推進』」につながった。公明党は最初から中国共産党の工作を受けた政党だと証言したに等しい。
編集委員 窪田 伸雄






