自民党の党勢拡大 党員100万人超え党大会
青年・女性ら前日行事が充実
自民党は長期政権時代を築きつつある。これは「安倍晋三首相の」と言い換え得るかも知れない。党大会(第84回、3月5日)特集だった同党機関紙「自由民主」3月14日号の4面片隅に、総裁任期3期とする総裁公選規程改正要綱、これに伴い役員任期を3期とする党則改正要綱が載った。
1面の見出しは「新たな国づくりに向け結束を」「強靭な党組織の構築に総力」など。昨年は参院選の年で党大会が決起集会となり、「民共共闘」への批判を強く打ち出していたが、結果は「27年ぶり、参議院単独過半数回復」(2面、二階俊博幹事長党務報告=見出し)となった。
今年のトピックは総裁任期「連続3期9年」と、「8年ぶりに党員数が100万人を超えたこと」だ。党員100万突破については1面のほか、2面の二階幹事長党務報告、「わが党党員数4年連続で増加」、4面「全国幹事長会議/平成28年党員数100万人の大台突破」の4本の記事で触れている。
このうち「…4年連続で増加」の記事は、「わが党の平成28年党員数は対前年比5・7%、約5万7千人増の104万3790人となった。山口泰明組織運動本部長が2月28日の党役員連絡会で報告した。党員数は25年から4年連続で増加、100万人台を突破したのは8年ぶり。わが党は26年から『120万党員獲得運動』をスタートし、26年89万6984人、27年98万7182人と党勢を回復してきた」と報告している。
ちなみに「120万党員獲得運動」を打ち出したのは石破茂幹事長時代で、2013年末に78万人まで減らしていた。自民党は参議院比例代表区が拘束名簿方式だった時代(83~98年)は、党員獲得数が名簿順位を左右したことから党員数は一時500万人台に膨れ上がったことがある。派閥同士の熾烈(しれつ)な多数派工作が当時の背景だ。
党が主導して党員拡大が進んだのは新展開と言える。当初、「共産党のようだ」と党内に反発があった。党員拡大ノルマを達成しない支部に罰金が科せられた。しかし、参院選(13年)、衆院選(14年)、参院選(16年)と3度の国政選挙を同じ総理総裁の下で戦い、いずれも大勝し、内閣支持率が比較的高いことが各支部の国会議員(ないし候補者)、都道府県議、区市町村議が支持層から党員を獲得する順風となったことは間違いないだろう。
大会前日の4日に行われた「プレイベント」にAI(人工知能)をテーマとした政策セミナー、AIデモンストレーション、全国幹事長会議、青年部・青年局、女性局合同全国大会が行われた記事も載るが、大会当日前日の企画が充実してきている。
「プレイベント」に触れた記事には、「今回が7回目。わが党が野党時代に『一から出直そう。一緒に地域の中に入っていこう』」との新藤義孝衆院議員の発案で始まったという。今後は、長期政権の果実を得てどのような「新たな国づくり」となるかが問われる。
編集委員 窪田 伸雄











