「自由民主」で竹島問題 「全力で取り組む」と決意
日韓合意不履行に失望か
2月は領土問題に対する行事が二つある。7日「北方領土の日」と、22日「竹島の日」だ。前者は1945年終戦後に旧ソ連によって不法占拠された北方領土の返還運動によって、1980年に解決を求める国会決議を衆参両院で全会一致で採択したのを受け、閣議了解で81年から定められた。
後者は、サンフランシスコ講和条約で独立する日本が放棄する島々に竹島を含めないことに反発した韓国が、同条約発効前の52年1月に島を占拠した問題の解決を求めて島根県が2005年に条例で定めた記念日だ。
今年、自民党の機関紙「自由民主」は「北方領土の日」の政府主催「北方領土返還要求全国大会」を2月21日号の3面で扱った。「国民世論の結集を」「領土問題解決の決意新たに」の見出しに「安倍総理『日ロ合意は重要な第一歩』」と首相あいさつからの一言を加えている。
同紙は、昨年12月の日露首脳会談について首相が「未来志向の発想による『新しいアプローチ』に基づき、領土問題の解決と平和条約の締結に向け、全力を尽くす決意を表明した」と書く。実際の解決は困難とみられるが、外交関係が日露間で機能している、ということである。
片や外交が行き詰まった日韓。朴槿恵大統領弾劾に至った国政介入疑惑で大規模デモが発生した事態もあるが、ソウルの日本大使館に続いて、釜山の日本領事館の前にも「慰安婦像」が設置された。日韓合意に反し、しかも韓国内でも違法だった場所にもかかわらず、韓国政府や地元自治体は法執行能力を示し得なかった。同国政府は言葉では撤去するように求めたが。
「自由民主」3月7日号は、このような韓国の政情不安や日韓合意に触れてはいないが、竹島問題を1面で扱った。記事には「竹島をめぐり韓国側は、昨年8月、3年ぶりに国会議員団が上陸したほか、今年1月には、地方議員団が慰安婦を象徴する少女像を竹島に設置するための募金活動を行うなど、不法占拠の既成事実化を着々と進めている」など、憂慮と危機感を綴っている。「韓国の言動に忸怩たる思いをたくさんしてきた」との原成光・竹島領土権確立島根県議会議員連盟会長の発言も取り上げた。
これまでも同紙は「竹島の日」を取り上げ、1面に掲載したこともあったが、扱いはイベント記事であり、「日韓関係は重要だが」との前置きもあった。
今回は、見出しに「竹島への不法占拠を許すな」、「『わが党が先頭に立ち全力で取り組む』」、「国際司法裁判所に提訴を」であり、主張を強く打ち出した。一連の韓国側の動きに失望が大きかったとみえる。
朴大統領弾劾で韓国は左翼勢力の天下になり、5月9日の大統領選に保守系候補がいない。北朝鮮に親近感を寄せ、日韓分断、韓米分断を画策する勢力が大手を振るっては、竹島で黙ったら別の火種をつくって日韓対立が仕掛けられよう。ただ、世界には隣国同士で領土問題を有する国々が存在する。交流や関係改善の手段は模索すべきである。
編集委員 窪田 伸雄










