教諭いじめ、子供を指導する資格はない


 神戸市立東須磨小学校で、20代の男性教諭が先輩の教諭4人から暴力などのいじめを受けていた。学校で児童や生徒によるいじめ問題が深刻化する中、本来であれば防止する立場の教員が同僚にいじめを行っていた。このような教員に子供を指導する資格はない。

加害者は「悪ふざけ」

 4人は30代の男性教諭3人と40代の女性教諭で、被害教諭は2学期の始業式当日から休職している。被害教諭は、いじめが2017年度に始まったと訴えているという。

 家族からは、校長と市教育委員会に「羽交い締めにされ激辛カレーを無理やり食べさせられた」と訴えがあり、この際に撮影されたとみられる画像の提供を受けた。

 しかし、被害教諭が受けたいじめはこれだけではない。ドレッシングやキムチ鍋のもとを飲まされる、熱湯の入ったやかんを顔につけられたり、首を絞められたりする、同僚の女性教諭に性的なメッセージを送信させられるなど、いじめ行為は約50に上る。

 7月に行われた校長との面談で、被害教諭は「コピー用紙の芯で尻をたたかれ、みみず腫れになった」「車の上に乗られた」などと話していたという。これではいじめというよりも犯罪である。強要や暴行などの罪に問われても仕方がない。

 また校長が加害教諭を指導した際、男性教諭の一人は「悪ふざけのつもりだった。そこまで嫌がっていると思わなかった」と説明した。この幼稚さにはあきれるばかりだ。これほど他人の気持ちが分からないのであれば、とても教員は務まるまい。

 被害教諭は、40代の女性教諭が被害教諭が受け持つ児童に対して「反抗しまくって学級をつぶしたれ」と発言したとも主張している。事実であれば、このような教員に子供を預けたいと思う保護者はいないだろう。

 同時に、校長の管理責任も問われる。校長はこの問題について、市教委に「教員間のトラブル」と報告。だが、具体的な内容は伝えなかった。隠蔽(いんぺい)の意図は「全くなかった」としているが、一刻も早い解決を図ったようには見えない。

 萩生田光一文部科学相は、教諭いじめについて「言語道断であり、極めて遺憾だ」と厳しく批判した。4人の加害教諭は既に公務から外れているが、厳正に処分すべきだ。同様の問題は他の学校でも生じている恐れがあり、文科省は早急に実態を把握する必要がある。

 知的にも精神的にも成長を遂げる時期の児童・生徒にとって教員の影響は大きい。その意味で、今回の問題は学校や教員への信頼を著しく損なったと言えよう。

 教員による児童・生徒らへのわいせつ行為なども後を絶たない。教員の質の劣化が深刻であれば、養成の在り方も抜本的に見直すべきではないのか。

道徳教育の充実に期待

 小学校では昨年度、中学校では今年度から道徳が正式教科となった。道徳の授業を受ける児童・生徒の中には将来、教員を目指す子供もいるだろう。道徳教育の充実が教員の質向上につながることを期待したい。