「チーム学校」で主体的学びを


 討論・意見発表を重視した「主体的・対話的で深い学び」、社会の変化に対応できる子供たちの教育を目指した次期学習指導要領改定案が公表された。

 「主体的に課題を見つけ、対話を含めて解決に取り組むことで豊かな思考力を育む」授業の中で、子供たちの頭の中が活性化され、学ぶ喜びを感じる授業ができれば理想だろう。

 各教科とも縦横連携を

 「脱ゆとり路線」を継承しながら、「どのように学ぶか、どんな資質・能力が身に付くか」まで、一歩深めた指導の充実が記載された。学校だけでなく、教育環境を整える市町村教育委員会を含めた指導力のさらなる向上が求められる。

 中央教育審議会が指導要領改定に向け答申で求めた「アクティブ・ラーニング(能動的学習)」という言葉は、現場で捉え方が多様なため使っていないが、考え方は入れられた。だが、思考力や判断力は一つの教科で育てられるものではない。各教科の横断的な連携とともに、各学年、小学校、中学校、高校を貫いた縦の継続性も必要になる。

 グローバル化に向けた英語教育として、歌やゲーム、クイズで「聞く・話す」を中心に親しむ「外国語活動」を小学3、4年生に前倒し導入。5、6年生の英語は「読む・書く」など文法を加えた正式教科になる。中学校では実践的な会話力を身に付け、高校では対話や討論ができるレベルを目指している。

 英語の時間が3年生から6年生まで年間35こま(1こま45分)増えるため、各学校は夏休みや土曜日を使ったり、15分の細切れにしたり、両方を組み合わせる、英語を母国語とする外国語指導助手を配置する、語学研修の時間を増やす、などさまざまな取り組みを考えている。だが「脱ゆとり」で授業時間は満杯状態。新たに授業をはめ込むことは容易ではない。小中高の連携がうまくいかなければ、テストに追い立てられ、小学校時代の「楽しい英語」から「嫌いな英語」になってしまう。

 読解力の向上を目指して、新聞や本で調べたことを知識として、報告・討論することも盛り込まれ、コンピューター・プログラミング教育も小学校で必修化されている。竹島、尖閣諸島を「我が国の固有の領土」と明記し重要性を強調した。

 指導要領の記述は現行の1・5倍に増えた。ベテラン教師の大量退職もあり、人材・予算の裏打ちと丁寧な対応が迫られる。これらの問題を包含できるだけの人材確保が不可欠だ。

 学校挙げて課題克服せよ

 教師の仕事は授業のほか、ホームルーム、テストの採点、運動会や文化祭の準備、家庭訪問、教員会議、課外活動の引率などがある。いじめや不登校、非行、健康面での問題など処理しなければならない問題が山積している。

 教師の負担が大きい現状で、指導要領の改定はさらに負担を増やす。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、校長、副校長、教頭など学校の管理職、そして家庭や自治体の教育関係機関などが「チーム学校」として協力し、教師との連携を深めなければ、今回の改定を実のあるものにできない。