ゲーム障害 優先度下げる取り組みを


 ゲームのやり過ぎで日常生活に支障を来す「ゲーム障害」に関する実態調査で、10代と20代の約12%が休日に6時間以上ゲームをしており、プレー時間が長い人ほど、学業・仕事への悪影響や心身の不調を感じながらゲームをやめられないなど依存傾向にあることが分かった。

 WHOが国際疾病に分類

 ゲーム障害は①時間や頻度を自らコントロールできない②日常生活の中で最優先にする③職場や学校、家庭に悪影響が生じているのに続けてしまう――などの状況が1年程度続いている場合に疑われるとされる。

 世界保健機関(WHO)は5月、ゲーム障害を新たな依存症として正式に国際疾病に分類。これを受け、厚生労働省の補助事業として国立病院機構久里浜医療センター(神奈川)が初の実態調査を実施した。

 1日当たりのプレー時間は「1時間未満」が平日で40・1%、休日で25・0%と最多だったが、「6時間以上」も平日で2・8%、休日で12・0%いた。「学業や仕事に影響が出てもゲームを続けた」と回答したのは、平日に1時間未満の人が1・7%だったのに対し、6時間以上の人は24・8%だった。

 また、6時間以上の人のうち「友人、恋人らとの関係を危うくしても続けた」のは14・9%に達した。「腰痛や頭痛など体の問題があっても続けた」のは40・5%。「睡眠障害や憂鬱など心の問題が起きても続けた」人も37・2%に上った。

 これでは健康を損ない、社会とのつながりを失うことにもなりかねない。同センターの樋口進院長によれば、深刻な患者の場合、年収の倍に相当する金額をゲームにつぎ込んだり、学校に行かずゲームにのめり込んだ結果引きこもったりする。海外では長時間、同じ姿勢でゲームをし続けることで血管の中に血液の塊ができる「エコノミークラス症候群」になった事例もあり、深刻な場合は死亡することもあるという。

 ゲーム障害の深刻化の背景には、ゲームアプリを搭載したスマートフォンの普及がある。厚労省研究班の2017年度の調査では、中学・高校生のインターネット依存が急増したとの結果が出た。特に男子はオンラインゲーム、女子はネット交流サイト(SNS)を利用する割合が高い。

 ゲーム障害に対応している医療機関は、全国で40カ所程度とされている。厚労省は来年度から、地域医療に携わる医師らを対象にアルコールや薬物、ギャンブルをテーマに行う実務者研修を、ゲーム障害にも広げる方針だ。今回の調査結果を踏まえれば当然のことだと言えよう。

 治療のカギは①環境を変える②生活のリズムを整える③現実世界のリアルな楽しさを知る――などによってゲームの優先度を下げることだ。依存の背景には、ゲーム以外に自己肯定感や達成感を得られないことがある。こうした問題の解決も回復につながる。

 親子でルール作りを

 深刻な依存を防ぐには、乳幼児期からの予防が重要だとも言われる。親子で相談してゲームで遊ぶ時間を決めるなどのルールを作りたい。