中国が新型中距離ミサイル配備公表
中国は、米海軍の南シナ海での「航行の自由」作戦に対抗し、地上配備の中距離弾道ミサイル「東風26」を、同国北西部の内陸部に配備したことを明らかにした。南シナ海、グアムを射程に収め、米軍は今後、潜水艦配備の低出力核兵器などで対抗措置を迫られる可能性がある。
東風26は昨年4月に実戦配備されたことが伝えられ、中国本土からグアムの米軍基地を攻撃する能力を持つことから「グアム・キラー」と呼ばれ、米軍は警戒を強めている。
中国国営中央テレビ(CCTV)は9日、東風26の映像を初めて公開。西部のゴビ砂漠と中部の基地に配備されたと報じたが、配備数など詳細は明らかにしていない。
中国の軍事専門家は、中国共産党機関紙・人民日報系の「グローバル・タイムズ」紙で、東風26の配備が、7日に行われた米艦「マッキャンベル」の「航行の自由」作戦を受けたものであることを強調。弾道ミサイルは発射直後は速度が遅く、衛星などからも検知されやすいため、迎撃を困難にするために内陸部に配備されたことを明らかにした。
米国防総省は最新の報告で東風26について、射程約4000㌔、人工衛星からの航行支援を受けた精密誘導ミサイルであり「対地・対艦攻撃が可能な中距離弾道核ミサイル」と指摘、米軍にとって脅威となる可能性を指摘していた。
米科学者連盟のアナリスト、ハンス・クリステンセン氏はCCTVが公開した映像について、「訓練のために東風26が最初に配備された旅団の映像のようだ」と指摘、北京の南約840㌔の信陽の第666旅団との見方を明らかにした。信陽からは、南シナ海だけでなく、約3760㌔離れたグアム、日本も射程内に入る。
米国は、1987年にロシアとの間で交わした中距離核戦力(INF)全廃条約のため現状では、東風26に対抗できる地上発射ミサイルを配備できない。
トランプ大統領は昨年、ロシアが同条約に抵触して地上発射の新型巡航ミサイルSSC8を配備したと主張、条約破棄の意向を表明した。
米戦略軍は昨年、中国の中距離ミサイルの配備に対抗するために、艦艇または潜水艦発射の新型低出力核兵器の配備が急務との見方を明らかにしていた。






