FBIが「孔子学院」を調査、中国のスパイ活動など加担か
米連邦捜査局(FBI)は、米国内でスパイ活動、宣伝活動に関わっているとみて、全米の中国政府系教育機関「孔子学院」数十校の調査を進めている。FBIのレイ長官が12日、上院情報委員会の公聴会で明らかにした。
学院は主に米国の大学内に設置され、表向きは中国語と中国の文化を教えている。しかし、親中プロパガンダと感化活動の拠点となり、人権擁護活動に抗議する中国共産党の学生グループを組織するなどの活動も行われている。
レイ氏は「孔子学院をめぐる懸念は承知している。このところずっと監視してきた」と語るとともに、学院は中国がスパイ活動などに「利用している」さまざまな手段の一つだと指摘した。
また、「言えることがあるとすれば、従来とは違う、とりわけ教育の現場で、教授、科学者、学生らが情報収集人として利用されていることだ。これは、全米のほぼすべてのFBI現地事務所が把握している。大都市だけではなく、小さな都市でも同じだ。ほぼすべての分野に及ぶ」と孔子学院の活動が広範囲に及んでいる現状を指摘した。
その一方で、これらの脅威に対して「学術部門の反応は鈍い」と大学側の対応にも苦言を呈した。
中国は「米国の開かれた研究・開発環境を悪用している。米国は開かれた環境を尊重しているが、中国はそこに付け込んでいる」とレイ氏は指摘、「私たちがすべきことは、中国の脅威をよく調査することだ。政府全体にとって脅威であるだけでなく、社会全体にとっても脅威であり、社会全体でこの脅威に対処していくべきだと考えている」と本格的な対応の必要性を訴えた。
この発言は、上院情報委員会でのルビオ上院議員(共和、フロリダ州)の質問を受けたもの。ルビオ氏は、フロリダ州の五つの学校に、孔子学院との関係を切るよう求める書簡を書いたばかりだ。
マイアミデード大学、ノースフロリダ大学、サウスフロリダ大学、ウェストフロリダ大学、サイプレスベイ高校への書簡でルビオ氏は、学院が「中華人民共和国による米国での、特に学術機関での感化活動を増加させており、学院はその一端を担っている」と主張した。
現在、100以上の学院が全米で開設され、幼稚園から高校3年生までを対象とする「孔子教室」も設置されている。
ルビオ氏は、「世論にひそかに影響を及ぼし、中国の歴史、政策を都合のいいように示すことを狙った一方的な見方を教えるという中国の取り組みに加担していると私は考える」と指摘。これらの教育機関は、米国の教育の現場に侵入し、言論の自由、表現の自由を阻害するための中国の計画の一環だとして、閉鎖するよう求めている。






