中露との戦争で敗北も 米シンクタンク
米シンクタンク、ランド研究所は最新の研究報告で、米軍は組織化が不十分で、中国、ロシアなどの国家からの脅威、長期化するイスラム過激派との戦争に対応できないと指摘。軍事的脅威に対抗するために構造改革を行い、作戦を練り直すべきだと提言している。
報告は「米国の軍事費は中国の2・7倍、ロシアの6倍だが、米軍は次の戦争で敗北する可能性が高い」と改革の必要性を訴えた。
また、米軍は現在、一つの大規模戦争を戦える以上の戦力を備えているが、軍事力の増強を進める他の大国に後れを取っていると強調。「欧州と東アジアでの大きな脅威に対抗する備えが不十分であり、訓練不足のため、構成部隊の多くは作戦能力を効果的に生かすようにできていない」と、米軍の組織的な問題を明らかにしている。
ダンフォード統合参謀本部議長も先月の演説で、同様の指摘をしており、中露に対する米軍の優位は失われていると警告するとともに、予算の増額を訴えていた。
米国はまだ、中国、ロシアなどに対して優位を保っているが、「過去10年から15年の間にこの優位性は損なわれ、数年前から決定的なものではなくなった」と、ダンフォード氏は語っていた。
報告は中国、ロシア、北朝鮮、イラン、イスラムテロ組織の五つの主要敵との戦いに焦点を絞るべきだと主張している。
そのためには、ロシア、中国との一つの大規模戦争、または、一つの大規模戦争と北朝鮮またはイランとの地域戦を同時に戦える新たな態勢が必要となる。さらに、二つの大規模戦争という道もあるが、それには、戦闘旅団、戦闘機飛行隊、戦艦の大規模な増強が必要となる。この三つのシナリオにはそれぞれ、年間5380億㌦、6100億㌦、6280億㌦が必要になると見積もられている。
報告は、国防総省による現在の作戦立案、資源配分は「戦力投射への米軍の能力、態勢、概念を近代化することに重点がほとんど置かれていない」と指摘、「その結果、最も手強い敵からの脅威に対抗できるだけの強力な軍事力が得られていない」と、軍の改革・近代化の必要性を訴えている。