北朝鮮への軍事行動恐れる中国
米国が空母打撃群を韓半島近海に派遣、北朝鮮が新たに地下核実験を行う兆候が出ていることを受けて、北東アジアでの緊張が高まっている。
空母カール・ビンソンの派遣に先立ち、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が先週、フロリダ州で北朝鮮問題を中心に会談を行ったばかりだ。
両首脳は、北朝鮮問題について意見を交換し、米政府高官によると「この問題が差し迫っているということで相互に理解を示した」という。
緊張が高まったことを受けてビンセント・ブルックス駐韓米軍司令官は、今週予定されていた米議会での証言を急遽(きゅうきょ)中止した。
米政府高官によると、トランプ、習両氏は韓半島の非核化を求めた国連安保理決議の完全実施を改めて約束した。トランプ氏はさらに、北朝鮮の核をめぐる現状が容認できるものではないことを明確にした。
そのうえで、習氏に対し、北朝鮮の脅威に対応する用意があり、必要なら単独でも行う考えを強調した。同高官によると「米国が今後、北朝鮮に対する圧力を、他国の協力がなくても、強めていく意向であることも話した」という。
米国による北朝鮮への軍事行動は、習氏、中国政府が最も恐れていることだ。トランプ氏がシリアの化学兵器攻撃の起点となった空軍基地を59発の巡航ミサイルで攻撃したとき、フロリダ州の別荘、マールアラゴに滞在していた習氏ら中国人は皆、米国の軍事力の恐ろしさを目の当たりにした。
トランプ氏は「米国第一」を掲げているが、シリア攻撃は、トランプ氏が前任者と違って状況によっては軍事力の行使も辞さない考えであることを中国に対して明確に示すこととなった。
アナリストらは、アジアでの米国の軍事行動を回避することは、中国指導部にとって最優先課題となっている。
中国の対米政策の主要戦略目標は、力が衰えているとはいえ、依然として中国にとって脅威と見ている超大国・米国を封じ込めることにある。






