空港入管職員の乱
地球だより
世界最悪から脱したマニラ国際空港が、また評判を落とすような大きな問題に直面している。入出国の手続きを担う入管職員が一斉に離職して人員不足に陥り、混雑が悪化してるのだ。
離職の原因は今年1月に、これまで残業代の予算に充てていた「エクスプレス・レーン料金」の使用をドゥテルテ大統領が禁止し、残業代の未払いが続いたことが原因だ。
地元メディアの報道によると、残業代を失ったことで収入が半分以下となり、生活が立ち行かなくなった結果、交通費が支払えず出勤できない職員が、休暇を申し出ているケースも多いという。マイホームなどのローンのため、転職を選ぶ職員も少なくないらしい。
2月の時点で1800人近い入管職員が休暇を申し出ているという情報もあるが、なぜ、これほど大きな問題が長期間にわたって放置されているのか、フィリピンの不思議なところでもある。
聖週間の連休直前になって、ようやく入国管理局は、本部職員341人を訓練して、空港の担当として送り込むという具体的な改善策を提示した。
聖週間には多くの国民が海外旅行に出る時期でもあり、自国民からの苦情を恐れた結果なのかもしれないが、もう少し利用の大半を占める外国人のことも考えてほしいところだ。
自分の経験では、一般的にフィリピン人は外国人に寛容だが、苦情や指摘に関しては、外国人にネガティブな反応を示すことが多い。なかなか交通網の整備などが進まない背景には、こういった国民性が反映されているような気がする。
(F)