コロナ禍、子供も犠牲にーオーストリアから
地球だより
コロナ禍で集中治療室(ICU)のベッドに空きがないことから、重い心臓病の5歳の子供の手術が遅れている。オーストリア国営放送のコロナ特別番組に出演したその子の母親が、早く手術が受けられるよう訴えていた。4歳の女の子が病院でコロナ感染し、亡くなった。親が病院側の落ち度を批判し、国の責任を訴えている。子供たちも成人と同様、コロナの危険にさらされている。
5歳以下の子供の場合、コロナに感染する危険性は低いとされてきたが、デルタ株やオミクロン株は5歳以下の子供も感染の危険があると指摘されている。欧州連合(EU)は5~11歳までの子供へのワクチン接種を認可したばかりだ。医療関係者は「5歳未満の子供も感染の危険がある」と接種を主張している。
オーストリアでは、新規感染者が急増し、先月22日から3週間の予定でロックダウン(都市封鎖)が実施されている。新規感染者数は最高1万6000人だったが、ロックダウン10日目が過ぎたころから4桁に落ちた。ただし、死亡者は依然60~70人と多い。入院患者数は多く、ICUのベッドはコロナ患者に占められ、心臓病やがんの手術が延期されるケースが増えている。
南アフリカからの報道によると、5歳以下の子供が多数、オミクロン株の犠牲となっているという。政府は国民にワクチン接種を訴えているが、国民の約3割は拒否。週末にはコロナ規制反対の集会が開かれている。コロナ禍は国民を分裂させてきた。5歳以下の子供たちがその犠牲となっている。(O)