リモートワークの契約交渉ーフランスから


地球だより

リモートワーク

 フランスは、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加傾向にある一方、コロナ以前の日常に戻りつつあり、当然ながら、リモートワークだった社員の職場復帰が施されている。

 職場復帰を喜ぶ人、抵抗する人とさまざまだが、喜ぶ人の多くは職場の同僚に会えて仕事への意欲も高まっており会社側も歓迎しているケースだ。彼らの多くはリモートワークで自宅の私生活に仕事が侵入したことにストレスを感じていたケースも多い。

 一方、職場復帰や週2日程度の出社に抵抗している人たちの多くは、リモートワークになって地方に引っ越し、田舎暮らしに満足している人も少なくない。某仏建材メーカーでは社員に月火の週2日の出社を義務付ける契約案を社員に提示して抵抗され、「必要に応じて出社を義務付ける」に変えざるを得なかったという例もある。

 そもそも法優先社会で契約書によって雇用条件を縛ることが当然のフランスでは、リモートワークになった時、多くの会社が社員と新たな契約書を交わした。特に勤怠管理が容易でないため、さまざまな監視システムが導入され、会社側と社員の双方の合意が不可欠だった事情もある。

 仏経済紙キャピタルによれば、在宅勤務のフランス人従業員の45%は、管理ツールを介して雇用主によって監視されているという。個人のプライバシーに敏感なフランス人だが、一度手に入れた田舎暮らしを手放すことと天秤にかけ、田舎暮らしを継続する希望者も多いようだ。さらに本社のある都市と田舎のデュアルライフも定着しつつある。(A)