反ワクチン新政党が州議会選で躍進 -オーストリアから


  オーストリアでは、新型コロナウイルスワクチンに反対する新しい政党が誕生し、州議会選で議席を獲得するという異変が起きている。
 先月26日に実施されたオーバーエステライヒ州議会選では、与党の中道右派「国民党」が37・6%の得票率で第1党を堅持。極右「自由党」は前回の得票率と比べ10・5%減となったが、辛うじて第2党の地位を守った。サプライズは、7カ月前に創設されたばかりの新党「人間・自由・基本権」(MFG)が得票率6・2%を獲得して議席を獲得したことだ。同党はMFGと名乗っているが、実際はワクチン接種反対を看板に掲げる政党だ。

 同党はワクチン接種率が34~50%と低い地域で健闘。ワクチン接種をしていない有権者の23%がMFGに投票したという結果が明らかになっている。ワクチン接種済みの有権者で同党に投票したのは1%にすぎなかった。

オーストリアでは自由党のキックル党首が「ワクチン接種をしていない証明書」を記者会見で提示して話題となったばかりだ。オーストリア全土のワクチン2回接種率は60・4%にとどまり、欧州連合(EU)でも最下位グループに属する。MFGには潜在的支持者が少なくないわけだ。

 同党のブルンナー党首は「今後は連邦レベルの選挙にも候補者を擁立していきたい」と語りワクチン接種反対を掲げて連邦政治に進出する意欲を示している。問題はコロナ禍が収束した時だ。MFGは結党の意義を失うため、解体するのか、それとも新しいテーマを見つけ政党活動を続けるのかについては不明だ。(O)