眞子殿下御結婚 週刊誌は国民の心反映せず
秋篠宮殿下御夫妻の長女、眞子殿下が26日に婚約内定者の小室圭さんと結婚されることが正式発表された。眞子さまは同日、小室さんと共に記者会見に臨まれる。国民からの祝福を受け、お二人が幸せな家庭を築かれることを心からお祈りしたい。
一連の儀式は行わず
ただ、一般の結納に当たる「納采(のうさい)の儀」や天皇、皇后両陛下にお別れの挨拶(あいさつ)をされる「朝見(ちょうけん)の儀」などの儀式は行われず、御結婚で皇籍を離れる皇族に支給される一時金も、眞子さまの御意向を踏まえ支給されない。どちらも戦後の皇室では初めてで異例の形となる。
儀式を行わない理由として宮内庁は、天皇陛下と秋篠宮殿下が「多くの人が二人の結婚を納得し喜んでいる状況ではない」と判断されたことを挙げた。皇室の慶事の際は、伝統にのっとって一連の儀式が行われるのが本来の形であり、誠に残念だ。
2017年にお二人の御婚約が内定した後、週刊誌が小室さんの母親の金銭トラブルを報じた。18年2月に御結婚の延期が決まり、11月に秋篠宮殿下は53歳の誕生日の記者会見で「多くの国民が納得し、喜んでくれる状況にならなければ、婚約の儀式は行えない」と語られた。
しかし一部メディアの過熱報道などで事態が好転しない中でも、眞子さまの御意思が固いことから、秋篠宮殿下は昨年の誕生日の記者会見で御結婚を認めることを表明された。「本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重すべきものと考えております」と述べられる一方で「感じとしては決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではないと思っております」とも語られた。
戦後の国民の一般的な価値観からしても、眞子さまが御結婚の意思を貫かれたことへの共感は強いはずだ。実際は祝福する声の方が圧倒的に多いようにみえる。興味本位の報道が国民の声を反映しているかのように捉えられたのは残念だ。
宮内庁の発表では、眞子さまは、秋篠宮御一家、小室さんとその家族への誹謗(ひぼう)中傷が長期的に繰り返されたため、複雑性PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。「これ以上この状況が続くことに耐えられないと考えておられる」という。実においたわしいことだ。
皇室の未来を心から案じるがゆえに、小室さんとの御結婚に疑問を持つメディアがある一方、週刊誌は皇室を好奇心の標的として取り上げるものが少なくない。一視同仁、反論できる立場にない皇室に対する一方的報道は、皇室と国民との間に心の溝をつくるものである。
眞子さまは御結婚後、小室さんの勤務先であるニューヨークで新生活をスタートされる。お二人は何よりも静かな日常を必要とされている。内外のメディアに節度を求めたい。
皇室の伝統維持に努めよ
今回の御結婚は、個人の自由意思尊重の戦後思潮の中で、生まれながらの公人であられる皇族方が抱える難しさを浮き彫りにした。ただ、複雑な事情によるやむを得ない特例であることを確認し、今後も皇室の伝統と格式が保たれるように努めるべきである。