コロナは「自然発生でない」、イスラエル専門家が指摘

ビル・ガーツ氏
米紙ワシントン・タイムズ(WT)の国防担当記者として、これまでにスクープ記事を多数執筆。2019年11月まで米保守系ニュースサイト、ワシントン・フリー・ビーコンの上級エディター。著書に『Deceiving the Sky(空を欺く)-地球的覇権狙う共産中国、活動の内幕』(Encounter Books)、『誰がテポドン開発を許したか』(文藝春秋社刊)など
イスラエルの生物兵器専門家で、バルイラン大学ベギン・サダト戦略研究センターのダニー・ショハム上級研究員は最近発表した論文で、新型コロナウイルスが中国の研究所から流出した可能性が強いと考えていることを明らかにした。ショハム氏は、昨年初めのウイルス流行初期段階で、感染拡大が中国軍の研究と関連がある可能性を指摘していた。
ショハム氏は昨年12月に発表した論文で、ウイルスの発生源は自然界とする主張に対する疑念が科学者、情報アナリストらの間で高まっていると指摘した。
それによると、ウイルスの発生は、自然発生や進化的適応よりも、人の手が介在した可能性の方が高い。ところが、中国当局による隠蔽(いんぺい)や欺瞞(ぎまん)、攪乱(かくらん)によって発生源を突き止めることが困難になっているという。
ショハム氏は「(第1感染者の)ウイルスの起源は、最初の感染の前に強い感染力など人への広範囲の適応が施されたコウモリウイルスであることがその遺伝情報から分かっている」と指摘、「今の疑問点は、それがいつ、どこで起きたか」であると主張した。
ところが、各国の情報機関は情報公開による影響力を懸念し、ウイルスの起源に関して口をつぐんでいると強調、それは「初期の感染が自然のものではないと判断しているからだ」と訴えている。自然発生のものならば、情報は公開されているはずだからだ。
ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当、7日に辞任)も同様の見解を表明している。英議会議員とのオンライン会合で、「(武漢ウイルス)研究所がウイルスの起源である可能性が非常に高いことを示す証拠が数多くある」と述べている。
ショハム氏は、ウイルスの発生源である湖北省武漢市にある「武漢ウイルス研究所」で過去10年にわたって、一貫性を欠くデータ、説明のつかない食い違いと矛盾、違法な隠蔽、記録・データベースの破棄、改竄(かいざん)など「重大な不一致、間違い」が発見されていることを指摘した。
その上で「これらの不正のすべては、一つの重大な目的のためとされている。それはウイルスの起源の追跡を困難にすることだ」と、中国当局による隠蔽工作の可能性を指摘している。
これは感染拡大当初、米国の政府高官や情報機関にウイルスに関する知識がなく、情報を科学者に強く依存した結果でもある。米国の科学者の多くは、中国と共同研究を行っているため、中国政府の見解を支持するからだ。中国の研究所との関係が悪化することを恐れて、研究所からの流出説について検討したがらない米科学者は少なくない。