17年の日本経済 「トランプ政策」の影響が焦点


  2017年の東証大発会は、日経平均株価の終値が前営業日比479円79銭高で1年の取引をスタートした。

 今月20日に米国でトランプ氏が大統領に就任するなど17年は大きな変化が予想される。今年の日本経済はどのように推移するのか。

 株高・円安が続くか

 昨年12月30日の大納会の平均株価は、5年連続で前年末を上回って取引を終えたが、上げ幅はわずか80円66銭だった。

 為替や株式などの市場は昨年、英国の欧州連合(EU)離脱決定、米大統領選でのトランプ氏勝利など予想外の出来事に、良きにつけ悪(あ)しきにつけ振り回された。国内では、台風・大雨や熊本地震など災害も少なくなかった。

 熊本地震では特に自動車や電機など製造業の生産設備が、余震のために生産中止を余儀なくされた。輸出関連企業では16年度前半の円高進行で収益の悪化に見舞われ、設備投資に一段と慎重になった。

 個人消費も冴(さ)えず、国内需要は低迷を続けた。四半期ごとの国内総生産(GDP)では、外需主導で成長率が高くなる時もあったが、喜べる状況ではなかった。

 輸出以上に輸入が伸びなかったため純輸出が増えただけだったからである。輸入の低迷は原油価格の下落もあるが、消費など国内需要が盛り上がらないことの反映だった。

 景気の牽引(けんいん)役が不在という状況の中で、昨年6月の英国のEU離脱決定などもあり円高が進行。企業収益の悪化で法人税収が減少したため、政府は16年度第3次補正予算案で7年ぶりに年度途中の赤字国債追加発行を余儀なくされた。

 今年で5年目を迎える「アベノミクス」は、経済成長による税収増を生かし、デフレ脱却(経済再生)と財政健全化との両立を目指してきた。

 こうした方向性に危うさを指摘する向きも少なくない。しかし、17年度予算案での7年連続の新規国債発行減額はアベノミクスの実績の一つとして認めていい。方向性は間違っていないということである。

 本欄でもたびたび指摘してきたが、惜しむらくは景気拡大の勢いを止めてしまった14年4月の消費税増税である。だが今となっては首相が言う通り、経済再生に注力するしかない。

 幸い、昨年秋ごろから経済対策の政策効果などで景況は上向きつつあり、トランプ氏が表明する大型減税やインフラ投資を好感して株高・円安が進んだ。政府・日銀は昨年末に景気判断を引き上げた。

 ただ、株高・円安がいつまで続くか、またトランプ氏が実際に表明通り、環太平洋連携協定(TPP)を離脱し、保護主義的な政策を実行するのか不透明な部分も少なくない。

 内需主導の成長目指せ

 日本としては、こうした外需要因に影響されにくい内需主導の自律的成長を目指したい。その点で、17年度予算案には物足りなさが残った。消費低迷の一因には、将来不安による買い控えも指摘される。同予算案編成で見られた社会保障費抑制をさらに進めたい。