大型2次補正で経済対策を


 2016年1~3月期の国内総生産(GDP)は2四半期ぶりにプラス成長となったものの、うるう年効果を除けば成長率は0%台。4~6月期は熊本地震の影響も加わり、マイナス成長に転じるとの見方もある。

 間もなく開催の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議長国として、わが国が世界経済の活性化へリーダーシップを発揮するには、中長期的な成長戦略とともに大型の財政出動と来春予定の消費税増税の延期など前向きな決断が求められる。

個人消費に強さ戻らず

 1~3月期のGDPは実質で前期比0・4%増、年率換算では1・7%増だった。しかし、うるう年で日数が多かったことが成長率を年率で1%程度押し上げたとみられ、実態は0%台。15年10~12月期(前期比0・4%減)の反動が出た面もあり、力強さはない。GDPはプラス成長とマイナス成長を繰り返す足踏み状態が続く。

 低成長の主因は14年の消費税増税以降、個人消費や設備投資に強さが戻らないこと。さらに円高や中国など新興国の経済減速など海外環境の悪さもあって輸出も冴(さ)えず、景気の牽引(けんいん)役が見当たらないのである。

 1~3月期のGDPがプラス成長に転じた主因は個人消費の回復(前期比0・5%増)だが、勢いはない。消費税増税から急減した個人消費の水準は2年が経過しても戻らず、14年4~6月期から0・1%のプラスにすぎない。消費の低迷は深刻である。失業率の低下など雇用・所得環境は確かに改善しているものの、家計の節約志向は変わらずで、年明け以降の株安も消費マインドを悪化させている。

 期待された設備投資は、3四半期ぶりに減少し、逆に景気の足を引っ張った。

 4~6月期以降は、4月に発生し自動車メーカーなどの生産活動に打撃を与えた熊本地震の影響が加わる。円安で盛り上がった訪日外国人による「爆買い」も円高で勢いを失いつつある。4~6月期は再びマイナス成長に陥ると懸念する見方もあり、先行きに明るさは見えない。

 日本は26、27日に開かれる伊勢志摩サミットの議長国。重要テーマである世界経済の活性化へ先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、財政政策、金融政策、構造改革といった政策手段を総動員する「国際版3本の矢」で一致した。財政出動で協調姿勢を示さない英独も同意できる内容で、サミットでの安倍晋三首相の地ならしになるものである。

 日本の場合、今回のGDPで示された景気の現状や先行きからも、政策総動員の必要性は論を待たない。

 政府からは新たな成長戦略の素案やニッポン一億総活躍プランなどが華々しく打ち上げられている。だが、重要なのはそうした中長期的な対策より、安倍首相が訪欧で強く説いていた財政出動、具体的には大型の16年度第2次補正予算編成による経済対策である。

消費増税は先送りを

 そうした政策と整合性を持たせ、デフレ脱却を確実に実現するためにも、最近の関心事である来年4月予定の消費税増税は先送りするのが妥当である。