サンマ・マグロ、実効性ある資源管理主導せよ


 「秋の味覚」として親しまれるサンマ、すしネタとして人気の高いマグロ。日本人になじみ深い両魚種の資源減少を食い止めるため、国際的な取り組みが相次いで進められている。

国際的な取り組み進む

 東京都内で開かれた「北太平洋漁業委員会(NPFC)」の初会合で、参加した日本、中国、台湾、韓国、ロシア、カナダの6カ国・地域はサンマの資源保護で合意した。日本の提案により、資源量を維持できる漁獲量を2017年中に算定し、その結果に基づき保存管理措置を取ることで一致した。

 北太平洋のサンマ資源量が国際的に算定されるのは初めてのこと。新たな管理措置が取られるまで、漁船を急激に増やさないことでも一致した。漁船の登録制度の導入や監視のための発信装置の搭載を漁船に義務付けることも決まった。

 資源量が比較的安定していたサンマだが、近年減少が指摘されるようになった。日本は1997年から独自に総漁獲量を制限してきたが、サンマは太平洋全域に広く分布する回遊魚だ。90年代以降、公海上で台湾、韓国、中国の漁獲量が急増。台湾の14年の漁獲量は23万㌧と日本の22万4000㌧を上回った。

 海外で缶詰など加工用の需要が高まり、漁業関係者の中では「日本近海に回遊してくる前に先取りされている」との懸念が強まっていた。日本一国で漁獲量を制限しても、実効性のある資源管理策とはならない。この意味で今回の合意は、国際的な管理への重要な一歩と言える。

 NPFCは条約に基づいて設置されており、その合意は法的拘束力を持つ。事務局は東京に設置された。日本は他の国々にも漁獲規制を求めていく方針だが、中国などが応じるかは不透明だ。サンマ漁の歴史の長い日本が国際管理の重要性を強調し、資源枯渇を防ぐための体制構築を主導すべきである。

 一方、太平洋のクロマグロは、資源量が10年間で半減しており、早く手を打たなければならない危機的な状況だ。札幌で開かれた「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の小委員会で日本政府は、生後1年未満のクロマグロが大幅に減少した場合に備えて漁獲制限を設ける措置を提言し、他の参加国・地域から賛同を得た。12月に正式決定する予定という。

 水産庁によると太平洋での親魚の資源量は12年に約2万6000㌧。WCPFCは今年から小型魚の漁獲量を02~04年平均の半分に減らす規制を開始している。それでも緊急漁獲規制ルールの導入を提案したのは、太平洋で生まれてくるクロマグロの子供が少ない状態が続いているからだ。

 親魚の漁獲規制はマグロの値上がりにつながり、世界のマグロの約8割を消費する日本としては歓迎できることではない。しかし、資源が枯渇してしまっては元も子もない。

日本は痛みも覚悟を

 大西洋では厳しい漁獲規制によってクロマグロの資源量が急回復し、今年から漁獲枠を拡大した。マグロ漁を続けていくために、日本は必要とあらば痛みも覚悟し、実効性のある資源管理を主導していくべきである。

(9月8日付社説)