マイナス27%成長 焦らず地道に経済再生図れ


 大方の予想通り、厳しい数字になった。内閣府が発表した2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産)は前期比7・8%減、年率では27・8%減と大幅なマイナス成長である。

 新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための緊急事態宣言による外出・営業の自粛などの影響がいかに大きかったかである。政府は依然続く感染拡大への対処と経済の立て直しを同時並行的に進める困難な舵(かじ)取りを迫られているが、焦らず地道に取り組んでほしい。

 戦後最大の下げ幅に

 4~6月期のGDP27・8%減は、リーマン・ショック後の09年1~3月期(17・8%減)を超え、戦後最大の下げ幅となった。

 世界的にも4~6月期は英国で年率59・8%減、米国でも同32・9%減と過去最悪を記録している。都市封鎖(ロックダウン)を実施したため、それだけ数字が大きく出た感じだが、経済を人為的に止めることによる深刻度は、日本もそう変わらないであろう。

 マイナス成長はこれで3四半期連続。特にGDPの6割弱を占める個人消費は、前期比8・2%減で、3四半期連続のマイナス。緊急事態宣言による外出自粛や営業自粛の影響をもろに受けた。宿泊や飲食、旅客、娯楽などのサービス需要が蒸発してしまったわけである。

 輸出も同18・5%減。感染が爆発的に拡大した欧米で需要が振るわず、柱である自動車産業が不振であった。統計上、輸出と見なされる訪日外国人旅行者(インバウンド)の消費消失も響いた。

 設備投資も企業収益の悪さを反映して、前期比1・5%減。同期の企業決算は、大幅な減益や赤字発表が続出した。航空や鉄道を中心に通期予想を示せない企業が相次ぎ、投資を延期または中止する動きが拡大しているのである。

 12年12月の第2次安倍政権のスタートとともに始まった景気拡大について、内閣府は先月末に、18年10月をピークに終了したと認定した。緩やかな拡大を続けてきた景気は、米中貿易摩擦の激化で弱含み、昨年10月の消費税増税で勢いをさらに失い、今回のコロナ禍がとどめを刺した形である。

 政府は今回のコロナ禍に対して、1次、2次と2度の補正予算を組み、併せて事業規模230兆円超の経済対策を実施している。国民への一律10万円給付をはじめ、雇用調整助成金、休業支援金、企業の資金繰り支援などである。それでも、今回4~6月期の厳しい数字だが、諸対策がなければもっと深刻になっていたということである。

 試行錯誤はやむを得ぬ

 最近の経済関連の指標から、最悪の状況は4月、5月に底を打ったとみられる。小売りでは売り上げの減少幅が小さくなってきている。

 感染収束のめどが依然として立たず、政府の観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンなどは当面片肺飛行が続く。未曽有の経験だけに試行錯誤はやむを得ない。手続きの簡素化など改めるべきは改め、経済再生に焦らず地道に取り組んでいってほしい。