独露パイプライン計画に米懸念
ロシアの影響力拡大か
ロシアとドイツとの間を直接結ぶ海底ガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」によって、ロシアの欧州エネルギー市場への影響力が強まる一方で、米国の安全保障にとっても脅威となるのではないかという懸念の声が米国、欧州各国から上がっている。米政府はロシアに対する制裁も辞さない構えだ。
米国務省エネルギー源局のビンセント・カンポス報道官はワシントン・タイムズに対し、「エネルギー源を直接支配し、欧州諸国を政治的に支配するツールをロシアに持たせることになる」と計画への警戒心をあらわにした。
ロシアが昨年、欧州に供給した天然ガスは過去最多で、そのほぼ半分はパイプラインでウクライナ経由で送られている。欧州の天然ガスの40%はロシア産だ。
2014年のクリミア半島併合後、ロシア・ウクライナ関係は悪化。しかし、ロシアがウクライナへのガス供給を遮断すれば、ドイツなど欧州の主要市場への供給も絶たれることになり、ロシアは現状では、天然ガスをウクライナへの威嚇のカードとしては使えない。
ノルドストリーム2が完成すれば、バルト海経由で直接ドイツに送られる天然ガスは少なくとも2倍になり、現状を大幅に変えることになるという。
リトアニアのカロブリス外相はワシントン・タイムズとのインタビューで、「ロシアから欧州への従来のルートを迂回(うかい)するためのものであり、政治的であることは間違いない。危険だ」と訴えた。
トランプ政権はノルドストリーム2をめぐってロシアに経済制裁を科すことを検討している。しかし、計画を進めるドイツとの関係を悪化させるのは間違いない。
ロシアのガスプロム社によると、ノルドストリーム2は2019年末までに完成の予定という。
(ワシントン・タイムズ特約)