「民進の出直し」 遭難した党組織で議論百出
参院不要論跳ね返す存在に
党の衆院側が公認を出さない選挙で、希望の党、立憲民主党、無所属と3分裂した民進党。衆院選後の前原誠司代表辞任・離党、またもや代表選というお家騒動が続き、11月に機関紙「民進プレス」は発行されなかった。発行日(第3金曜)11月17日付の同紙が出たのは12月に入ってから。遭難とも言える党のダメージがうかがえる。
「今こそ、生まれ変わるとき。」―表紙は白地に縦一行の見出し。その下に「党員・サポーター・支援団体の皆さまへ」として「今回の総選挙における混乱をおわび申し上げます。民進党は『生まれかわる』ために、改革を始めました。…11月18日の全国幹事会において、当面、全ての都道府県連、総支部の存続を決定しました」と、11月22日付で大塚耕平代表の報告が小さく横書きしてある。
「民進プレス」はしばしば体裁が変わる。3月から政策特集中心で党内ニュースが減ったが、今度は生みの苦しみを綴(つづ)るような党内議論一色の紙面になった。大塚代表の就任あいさつ全文のほか、両院議員総会(11月8日)、都道府県連など党内各組織の議論を細かく記載している。
党運営の基本方針について、両院議員総会で大塚代表は「『話し合うとは聞き合うことだ』という仏教の言葉を引き合いに出し」たといい、この精神を紙面に反映しているようだ。聞き合うための機関紙になったと言えよう。
「総選挙の結果、党が分裂し、選挙の対応が混乱し、事後処理もまだ終了していない。そして党の事務職員の流出、地方組織の混沌(こんとん)、惜敗した元議員のフォローアップもしなければならない」「もはや従来通りの組織・業務運営は不可能である。まずそのことをぜひ理解してもらいたい。党務の役職を受け党務に臨んでもらうが、今までと同じように事務職員がサポートするわけではない。かなりの人数が立憲に移籍したり、これから希望に移る人もいる…」(同代表)など、実情を訴えている。
同紙12月15日号は「党改革に向けて中間報告(たたき台)を示し議論を加速」と題する1面で、党の戦略・組織・運営に関する改革本部を設置し、同本部検討会座長・中川正春衆院議員の下でまとめた改革の中間報告に関する同党全国幹事会・自治体議員団等役員合同会議(9日)を扱った。
また3~6面で「党再生・改革に向け全国11ブロックで公聴会を開催」と題し、発言要旨を90余り列記。まさに議論百出で、国会議員が立憲と希望へと離党した動揺が地方組織に広がっている。立憲と希望とは「友党」として協力し政権交代を目指すとの立場だが、党が別になり地方は組織上の矛盾に頭を抱えている。
参院議員にも1人、2人と立憲入党のため離党者も出てきた。やがて草刈り場になりかねず、参院で野党第一党の民進党が、かよわく分裂に巻き込まれれば、政党の在り方においても“衆院のカーボンコピー”のそしりは免れない。むしろ、参院不要論を跳ね返す存在感を発揮できるかが党再生の手掛かりになろう。
編集委員 窪田 伸雄