総選挙後の「社会民主」 合流待望?立憲に秋波
政党要件を割った得票率
旧社会党を継承した伝統政党ながら、社民党は政党要件の確保が微妙になった。10月に行われた衆院選の比例区得票率は1・69%で、政党要件の2%を割った。もう一つの要件は国会議員数5人以上だが、2議席維持で参院2議席と合わせても届かないまま。ただ、昨年の参院選の比例区得票率は2%を超えたので、任期の2022年まで政党要件を確保しており、政党助成金が支給される。
従って、党の延命を図るには22年までの議席・得票率の挽回が同党最大の課題だ。しかし、今回の衆院選はとどめを刺されるような結果になった。比例区の得票は94万1324票で、2014年の前回131万4441票から37万票余り減らし、16年参院選と比較しても比例区得票153万6238票から60万票近く減らす大幅な後退なのだ。
この結果について、同党の機関誌「月刊社会民主」は12月号で触れた。巻頭言に又市征治幹事長の「総選挙闘争の総括を全党で議論しよう」を載せ、「『5議席・185万票以上』獲得を目指して21人の候補者を擁立して戦った。しかし、結果は、現有2議席は確保したものの、得票は目標に遠く及ばず、『得票率2%』を割り込む厳しい事態となった」と、深刻な認識を示している。
ここで、票を奪ったとみられる立憲民主党について分析はない。むしろ今後の課題として、改憲阻止に向けた「立憲、民進、共産、自由など立憲野党」との共闘、次期参院選の野党候補一本化と比例代表選挙での最大限の共闘―などを訴えており、共闘や候補一本化の相手として秋波を送っている。
次の参院選でも比例で94万票程度なら、おそらく議席0だ。昨年の参院選では、吉田忠智党首は民進党への合流を模索したものの党内の反対で撤回して選挙に臨み、比例区で落選している。今回はそれ以上の票の落ち込みで、逆に党内から立憲民主党への合流論が浮上しかねない。
同誌に定期執筆している左翼論客はもっと露骨だ。「気ままにひとこと」を受け持つジャーナリスト・大谷昭宏氏は、「2議席ながら踏ん張った社民党のがんばりもさることながら、私は、やはり野党共闘の中核は立憲民主党が担うことになると思う」「あの枝野さんの演説を思い起こしてほしい…枝野さんはいつも聴衆の目線と同じ…」など、社民党機関誌上で立憲民主党に期待し、延々と枝野幸男代表を称賛している。
また、「早野透の政治を読み解く」でも朝日新聞出身の早野氏が、9条改憲を批判しながら「『護憲』の社民党、もうひとつ『護憲』の立憲民主党と力をあわせて、いよいよほんとの勝負どころである」と書いている。
特集「総選挙後、何をすべきか」に載る福山真劫氏(安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、フォーラム平和・人権・環境共同代表)の「『安倍9条改憲NO!3000万署名で改憲勢力に対抗しよう」の記事も、社民党だけを支持する話ではなかった。
編集委員 窪田 伸雄