「赤旗」で3中総報告 共闘と比例票の二兎追う
立憲民主躍進の影に共産?
日本共産党は衆院選挙を総括する第3回中央委員会総会(3中総)を2~3日に開き、志位和夫委員長による幹部会報告、結語などを同党機関紙「しんぶん赤旗」3日付、4日付に掲載した。
主見出しは「共闘前進と新たな党躍進を」(3日付)、「2019年参院選、統一地方選へ新しい前進を開始しよう」「『共闘の時代』にふさわしい党づくりを」(4日付)。左翼運動をしてきた「市民」と他の野党との共闘を引き続き前面に出し、同時に共産党への積極的支持を広げるという二兎を追うものだ。
10月に行われた衆院選で、同党の議席が21議席から12議席に、比例票が606万2962票から440万4081票に後退した結果について、幹部会報告は「党の力不足」と認識し、党員と「赤旗」日刊紙・日曜版読者を「前回参院選時を回復・突破する目標」に挑戦するよう求めている。
今年1月の第27回党大会決議の中で党勢は党員約30万人、「赤旗」読者が日刊紙・日曜版合わせて約113万人、2014年の第26回党大会決議では党員30万5000人、同紙日刊紙・日曜版合わせて124万1000人と発表している。両大会の間にある数字が目標の昨年7月「前回参院選時」になる。
その一方で、党勢減少傾向の事態打開に、インターネットにも活路を求めた。来年7月をめどに「赤旗」日刊紙電子版を発行し、ネット・SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で「JCP(日本共産党)サポーター制度」を設けるという。
「市民と野党の共闘」に関しては、民進党の希望の党からの出馬を「突然の逆流」と批判。67小選挙区で候補を降ろした共産党が「共闘を逆流から守」ったと主張した。また、「日本共産党が『逆流と断固たたかう』『共闘を決してあきらめない』と二つの態度表明をしたことが……その後の共闘の再構築の流れにつながり」「こうしたもとで10月2日、立憲民主党が結党」したと触れており、立憲民主党躍進の影の主役は共産党と言わんばかりだ。さらに、「野党共闘の勝利と党の躍進は両立しうる」と打ち出し、立憲民主党などとの野党共闘によって党勢を増やしたい考えだ。
しかし、民主~民進党との共闘では共産党が票を増やし、民進党は低迷して分裂した。今回、立憲民主党とでは逆に共産党の票が減った。両立は容易ではないとみられるが、同報告では、野党候補当選と共産党比例票も伸びた両立の例に、新潟3区、4区、福島1区の伊達市伊達郡の一部を挙げている。ちなみに候補はみな立憲民主党ではない。希望の党の公認申請を取りやめた無所属などだ。小選挙区の票と比例票の取引があったと考えられる。
結局、「両立」とは共闘相手から票をもらうことだ。3中総でも、参院選や統一地方選で「一方的な対応は行わない」と確認し、「比例代表選挙をあらゆる党活動発展の軸にすえる」と強調している。
年の瀬だが、年明けに志位氏は「選挙区は立憲民主党、比例は共産党」―という連呼が全国に響く初夢を見たいに違いない。
編集委員 窪田 伸雄