「赤旗」に民進議員名簿、希望との会派協議に息巻く
応援記事が一転さらし者
民進党と希望の党の統一会派に向けた協議が大詰めを迎えた15日、一昨年の参院選での「民共共闘」、昨年の衆院選での「市民と野党の共闘」を進めた共産党の小池晃書記局長が記者会見し、これら共闘で当選した民進党籍の議員を名指しした。共産党機関紙「しんぶん赤旗」(1・16)2面に「統一・共闘の16人」として小さく載せている。
「野党統一や市民と野党の共闘で当選した民進党籍をもつ議員各氏は次の通りです。(敬称略)◆野党統一候補として当選した民進党参院議員」に、青森・田名部匡代、宮城・桜井充、山形・舟山康江、福島・増子輝彦、山梨・宮沢由佳、長野・杉尾秀哉、三重・芝博一、大分・足立信也―の各議員。
「◆市民と野党の共闘で当選した民進党籍の衆院議員」に、宮城5区・安住淳、福島1区・金子恵美、栃木2区・福田昭夫、新潟3区・黒岩宇洋、長野1区・篠原孝、三重2区・中川正春、大阪11区・平野博文、佐賀1区・原口一博―の各議員の名前を列挙した。
その記事の上に「民進・希望の統一会派 幹事長が合意」と2段見出しの控え目な扱いで、通信社配信記事を載せている。共産党は希望の党を野党共闘の「逆流」と批判していることから、民進党籍16人の敬称を略した名簿はさながら同党に対して罪を犯したさらし者のような扱いだ。
いずれも選挙当時は「赤旗」の紙上でも大々的に応援し、好意的な記事を書いてきた人たちばかりである。行きはよいよい帰りはこわい、の共闘関係だ。
同紙1面の小池氏会見の記事では、「民進党とは、わが党も含めた野党間で、安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を、党首が何度も合意してきた」「民進党が希望の党と統一会派を組むことは、この間の党首合意に背くものだ」「衆参の16人は、統一会派に加わるとなると有権者との関係でも、裏切りということになるのではないか」などと批判し、息巻いている。
16人の選挙区は定数1の参院地方選挙区、衆院は小選挙区だ。確かに、共産党の組織票がなければ自民・公明の与党候補を相手に当選は危うかっただろう。参院選では、民進党は地方1人区全滅を恐れて共産党と協力したのだ。共産党票が離れれば次は厳しい。
案の定、もともと内部対立を抱えている民進党では16日の常任幹事会、17日の両院議員総会で希望の党との合意文書に異論が続出し、希望の党との統一会派はご破算になった。
16人は共産党とは水と油の保守系の方が多い。それだけに共産党との共闘は、議席は得ても政治行動が塗り替わる麻薬なのだ。
また、安保法制反対のため国会採決場面で見せた民進党(当時は民主党)議員ら野党議員の物理的妨害のパフォーマンスやデモ隊を前にした演説など、マスコミも過剰なほど取り上げていた。民進党は統一会派を追い求める数合わせより、党を存続する意義を議論した上で「転向宣言」をするぐらいのまっとうな政策で出直すべきだろう。
編集委員 窪田 伸雄